【ブンデス現地コラム】「守備的MF→CB」のコンバートが流行している理由とは?

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2016年04月22日

グアルディオラの説教を食らうシーンも。

シャルケのノイシュテッターのように、守備的MFとしてのクオリティー不足からコンバートされる事例も。(C)Getty Images

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 キンミッヒやベンダーとは異なり、守備的MFとしてのクオリティー不足からCBにコンバートされるケースもある。対象になるのは、中盤でプレーするには技術レベルや視野の広が不十分だが最終ラインなら計算できる、といった類の選手だ。

 シャルケのノイシュテッターは守備的MFで出場した際、相手のプレスを受けるとボールを失いがちで、致命的なピンチを招くことも少なくなかった。CBにコンバートされたのは、190センチと上背があるうえ1対1の競り合いに強く、前を向ければそれなりの展開力を発揮するから。レバークーゼンのクラマーがCBで起用されているのも、おそらく似たような理由からだろう。

 いずれにせよ、本来守備的MFの選手をCBで起用する最大のメリットは、ビルドアップの起点を増やしてボール支配率を高め、攻撃にバリエーションをもたらせることだ。

 一方のデメリットは、適応するのにやや時間がかかるという点だ。後方に必ず誰かがいる中盤と最後の砦として踏ん張らなければならない最終ラインでは、守り方が根本的に違う。その違いを頭と身体の両方で認識するのは容易ではない。キンミッヒも飛び込んではいけない場面で持ち場を離れて背後のスペースを突かれ、グアルディオラの説教を食らうシーンがまだある。

 チームとしてメリットを最大限に享受するには、デメリットを補えるだけの組織力や守備力を備えているのが大前提。ただ守備的MFをCBで起用すればいいという話ではなく、チーム戦術が確立されていなければ最終ラインの綻びを生むだけだ。結局のところ、抜擢する監督の手腕と選手の適性を見極める眼力が、重要なポイントになるのは間違いない。

文:中野吉之伴

【著者プロフィール】
中野吉之伴/ドイツ・フライブルク在住の指導者。09年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はFCアウゲンのU-19(U-19の国内リーグ3部)でヘッドコーチを務める。77年7月27日生まれ、秋田県出身。
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