宇佐美に負担がかかり過ぎる状況が続けば、2ボランチにメスを入れる改革も考慮すべきか。

最前線に入った長沢(20番)は、前半こそ何度かポストプレーで起点となったが、徐々にボールに絡む回数が減少。それも攻撃を完結できない一因となった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)
宇佐美が問題視しているのは“自分たちのテンポで攻撃を完結できない”という点だ。実際、柏戦では良い形で仕掛ける局面はあったものの、“良い形で攻撃を完結する”場面は皆無に近い。エリア付近でのシュートはことごとく相手にブロックされ、終盤はパトリックを軸としたパワープレーに頼らざるを得なかった。
「攻撃でなかなかギアが上がらない試合だった。自分たちがボールを持った時、自分たちのテンポで攻撃を完結できないところから失点した。自分たちらしさが出ない試合だった」
なにより宇佐美が嘆いたのは、相手のプレスを剥がせなかった部分だ。柏の守備は一定の強度を保ち、前からの圧力も確かに強かった。しかし、相手のプレスをテンポ良いパスワークで外し、フィニッシュに持ち込むのが、G大阪のストロングポイントだったはずだ。
「相手が前から来ているなか、僕も含めて、(マークを)外しながらやれれば良かったけど、ハメられる状況では僕たちらしさが出せない。相手を押し込む展開がもっと増えてこないと。ガンバらしくボールを回し、自分たちから発信した攻撃や自分たちで完結させるプレーを増やさないといけない。僕自身も、そういうシーンを個で作らないといけない」
柏戦での宇佐美は、幅広く動き回ってボールを引き出し、どうにか打開の糸口を探ろうと奮闘した。その働きは評価に値する一方、エースに負担がかかり過ぎている感も否めない。今の状況が続くのであれば、抜本的な改革――すなわち2ボランチにメスを入れる――も考慮すべきだろう。
取材・文●大木 勇(サッカーダイジェスト編集部)