大事に育んできた10年間のミシャの結晶を見た気がした。
「磐田戦の敗戦が、ひとつのきっかけになった。狙いとすべきサッカーを、より明確にしてくれた。そのあと、良い形で素晴らしい結果と内容を残せている。決して負けることは良いことではないし望んでなどいないが、あの1敗が良い効用を与えてくれた」
ACL王者を倒したという記録が残る。同時に燃えるような熱い声援を送り続けたサポーターをはじめ、TVを含め勝利の瞬間を“目撃”した多くの人にとって、記憶に刻まれる名勝負になったに違いない。
選手たちの誰もが「これで終わりではない。ここからが大事」と引き締めていたが、10年の月日を費やして日本で大事に育んできたミシャの鮮やかな結晶を見た気がした。
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)