「引いた相手に対し、1点目を奪うまで時間がかかっている。向こうが後半に緩んでからではなくて、ガチガチに守られている時に打開できるような形を作りたい」
では、具体的にどのような攻撃をイメージしているのか。
「なるべくシンプルに。綺麗にやりすぎないように。(アフガニスタン戦で)夢生が決めた5点目のような形でも、4点目のようなセットプレーからの得点でもいい。ワールドカップまであと2年しかないので、高いものを目指してやっていかないといけない」
ワールドカップまであと2年──。これは前回のブラジル・ワールドカップを経験した本田圭佑、香川真司あたりからも必ず出てくる言葉だ。ブラジルの地で屈辱を味わった彼らは確かな危機感を持っている。
「守備力に関して伸びないといけないと感じている。ただ、2次予選ではなかなかそれを積み上げられない。だから重要なのは、各々がどれだけ突き詰めてやっていくか。それぞれクラブに戻って向上しないといけない」
3月26日の練習後、本田も次のようなコメントをしていた。
「アジアは世界的に見ると不利。ワールドカップに向けた準備のなかで、このレベルでしか2年間戦えない。アジアカップで優勝したチームが唯一、コンフェデレーションズカップに出てシミュレーションができる。ただ、それもたったの3試合ですからね」
そうしたストレスのようなものを吉田も抱えているから、「各々がどれだけ突き詰めてやっていくか」という結論に行き着くのだろう。危機感を自信に変えるために──。その第一歩が、シリア戦での完封勝利になるか。
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)