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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の六十三「久保建英でも成功は難しかった!?……海外における日本人未成年の致命的弱点」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年03月24日

海外に行くのは早ければ早いほど良い」というのは幻想である。

環境が選手を成長させるのは確かだが、そのためにあらかじめ身につけておかなければいけないものがあることを、心得ておくべきだ。 (C) Getty Images

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「メッシは超人とか、宇宙人とか言われる。でも、あいつはいつだって、アルゼンチン人なんだよ」
 
 そう語っていたのは、バルサの強化担当者だった。
 
 アルゼンチン人のサッカー選手は戦闘意識が高く、物事に挑む時、決して怯まない。戦いが終わるまで、不屈の闘志で戦い続けられる。それは血のようなものである。
 
 スペインで何があったとしても、メッシはそのアルゼンチンの血を沸騰させさえすれば良かった。彼は幼くして、アルゼンチン人として覚醒していたのだ。
 
 一方、日本人選手はどうしても、その国に適応しよう、馴染もうとする。そこに無理が生じ、精神的にも肉体的にも消耗する。そして未成年の場合、挫けた時に立ち戻るメンタリティーができていない。そのまま、立ち上がれないのだ。
 
 それゆえに、十代で海を越え、活躍を遂げた選手はほとんどいない。一時的に成果を上げた選手を除けば、日本人で十代にして海を渡り、華々しい成功を遂げたのは“キング・カズ”こと三浦知良ただひとりではないだろうか。
 
 カズは高校1年生でブラジルに渡り、荒波に揉まれても日本人であり続け、その上でブラジルらしさも身につけ、土地の人にも愛された。日本人離れした精神力と言わざるをえない。わずか15、16歳で、成熟していたのだろう。
 
 もっとも、49歳で現役を続けているタフネスを見ても、カズが特殊な人格者であることは明白だろう。
 
 現実的には、日本人は18歳までは自分と向き合い、日本人として精神的に習熟してから、海を渡るべきだろう。少なくとも、「海外に行くのは早ければ早いほど良い」というのは幻想と捉えるべきである。
 
文:小宮 良之(スポーツライター)
 
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
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