バランスを崩した攻撃で1ゴールを得るも、次が続かず。
39分の2失点目は自陣深くでボールロストしたシーンから始まる。沼田がP・ウタカに身体を入れられて攻から守に。ミキッチ、宮原とパスが回って、河本、沼田、横山が形成したトライアングルの中でP・ウタカが受ける。寄せるのか、スペースをカバーするのか。中途半端になった河本の裏へと浅野が抜け出し、右足を一閃。ゴールネットを揺らされた。
実はこの悪癖は、J2降格を味わった14シーズンと同様のものだ。個々の判断スピードも改善の必要があるが、どのスペースに、誰が(この場合は1トップなのか2シャドーなのか)が入ったら、どう対応するのか。これが曖昧なままゲームを進めてしまうのだ。
ゾーンディフェンスを採用する以上、仕方ない部分は存在する。相手はそれを狙ってグレーゾーンに侵入と離脱を繰り返すわけで、試合中の咄嗟の判断で潰すのなら、マンツーマンへの切り替えが単純明快だろう。
今回の広島戦で、もちろん大宮は無策のまま後半に臨んだわけではなかった。「ハーフタイムに『後ろはマンツーマンでいこう』と話して修正を加えた。でも、やっぱり即席。切り替えてすぐにできるもんじゃないし、完成度は低かった」(横山)。
勝点を獲得するには最低でも2点が必要な状況も尾を引いた。N・ペチュニクに代えて横谷、沼田に代えて奥井を投入。和田を昨季同様の左SBに回したうえで、「バランスを崩して攻撃した」(渋谷監督)ことが、ターニングポイントだった3失点目の原因となった。
ただ、バランスを重要視する大宮が、自らそれを破った戦術は、即座に失敗して3失点につながったわけではない。広島側が「14年の『前半を3-0で折り返して、後半に3点を取られた試合』を覚えていた」(森保監督)ことと相まって、後半の立ち上がりは上手くハマっていた。
選手同士の距離感良くボールを保持しながら、相手を陣地深くに押し込んだ。奪われれば、素早く切り替えて襲い掛かり、再びポゼッションする。波状攻撃は王者の動揺を誘うに値するクオリティで、52分にはムルジャ、55分には横谷が決定機を迎え、60分には泉澤と家長の「感覚の合う」(泉澤)ラインから横谷がゴール。64分にもペナルティエリア内から家長がシュートを放つ場面があり、一気に同点、そして逆転も描ける時間帯だった。
しかし、タイスコアは遠かった。「あの流れで2点目を取れなかったのが実力」(横山)と見るべきだろう。裏返せば、後手に回りながらもしぶとく耐え凌ぎ、「相手ではなく、自分たちがなにをできるか」(森保監督)というメンタルコントロールでもって、半ば捨て身のようなアタックを仕掛けた大宮に、したたかにトドメを刺した広島の強さが際立ったことになる。
実はこの悪癖は、J2降格を味わった14シーズンと同様のものだ。個々の判断スピードも改善の必要があるが、どのスペースに、誰が(この場合は1トップなのか2シャドーなのか)が入ったら、どう対応するのか。これが曖昧なままゲームを進めてしまうのだ。
ゾーンディフェンスを採用する以上、仕方ない部分は存在する。相手はそれを狙ってグレーゾーンに侵入と離脱を繰り返すわけで、試合中の咄嗟の判断で潰すのなら、マンツーマンへの切り替えが単純明快だろう。
今回の広島戦で、もちろん大宮は無策のまま後半に臨んだわけではなかった。「ハーフタイムに『後ろはマンツーマンでいこう』と話して修正を加えた。でも、やっぱり即席。切り替えてすぐにできるもんじゃないし、完成度は低かった」(横山)。
勝点を獲得するには最低でも2点が必要な状況も尾を引いた。N・ペチュニクに代えて横谷、沼田に代えて奥井を投入。和田を昨季同様の左SBに回したうえで、「バランスを崩して攻撃した」(渋谷監督)ことが、ターニングポイントだった3失点目の原因となった。
ただ、バランスを重要視する大宮が、自らそれを破った戦術は、即座に失敗して3失点につながったわけではない。広島側が「14年の『前半を3-0で折り返して、後半に3点を取られた試合』を覚えていた」(森保監督)ことと相まって、後半の立ち上がりは上手くハマっていた。
選手同士の距離感良くボールを保持しながら、相手を陣地深くに押し込んだ。奪われれば、素早く切り替えて襲い掛かり、再びポゼッションする。波状攻撃は王者の動揺を誘うに値するクオリティで、52分にはムルジャ、55分には横谷が決定機を迎え、60分には泉澤と家長の「感覚の合う」(泉澤)ラインから横谷がゴール。64分にもペナルティエリア内から家長がシュートを放つ場面があり、一気に同点、そして逆転も描ける時間帯だった。
しかし、タイスコアは遠かった。「あの流れで2点目を取れなかったのが実力」(横山)と見るべきだろう。裏返せば、後手に回りながらもしぶとく耐え凌ぎ、「相手ではなく、自分たちがなにをできるか」(森保監督)というメンタルコントロールでもって、半ば捨て身のようなアタックを仕掛けた大宮に、したたかにトドメを刺した広島の強さが際立ったことになる。