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黄金のカルテットを追いかけた遠藤保仁――。極めて異質な「お先にどうぞ」の精神、導き出した最適解は欧州よりJだった

カテゴリ:日本代表

加部 究

2024年01月18日

王貞治が運転する車に乗せてもらったことも

先月に行なわれた中村俊輔の引退試合。久々に黄金世代が勢揃いした。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 ジーコが選択した夢のカルテットに比べ、遠藤のアピールが遅れたのはプロ入り後の激動の足跡も影響したかもしれない。鹿児島実業高校を卒業して入団した横浜フリューゲルスでは、ヨハン・クライフの懐刀としてバルセロナの黄金期を支えたスペイン人のカルロス・レシャック監督が、非凡な才能を見抜き開幕からスタメンに抜擢している。

 しかし所属クラブは1年後に、まさかの消滅。次に移籍した京都サンガは、パク・チソンや松井大輔らを擁して3年後に天皇杯を制すほどの潜在能力を秘めていたが、1年間でJ2に降格。遠藤はチームの開花を待たずに、ガンバ大阪へ移籍していく運命にあった。
 
 遠藤がJリーガーとして2度も環境を変えていく間に、2歳年上の中田は2度、同年代の稲本と小野もW杯を経験し、中田はローマでセリエA、小野はフェイエノールトでUEFAカップを獲得している。さらに黄金世代より1歳上の中村も日韓W杯への出場は逃したが、「世界で戦うためには欧州へ」という志を実現させていた。
 
 一方で遠藤の最大の特徴は、良くも悪くも慌てないマイペースのメンタリティなのだと思う。大半のアスリートには、平常心を保つために自分との闘いがついて回る。逆にその境地を保つために、ストレス発散の捌け口を設ける。
 
 例えば、その昔スポーツ新聞で巨人担当をしていた時に、王貞治監督(当時)が運転する車に乗せてもらったことがある。球界を象徴するホームラン王は、公の場では常に穏やかでサインを求めるファンにはひとり残らず応える人格者だった。だが密室でハンドルを握った時だけは人が変わる。そう仄聞していた通りに、周囲の運転や世情など様々な話題にブレーキ知らずの見解を連ねていた。
 
 ところが遠藤の場合は、ピッチ上の落ち着き払った姿が、どうやら素の自分だったようだ。ハンドルを握っても「遠藤渋滞」が起こるほどののんびり走行だそうで、世界を見渡しても高速高級車購入の優先順位が極めて高いプロスポーツ界で「お先にどうぞ」の姿勢は極めて異質だったに違いない。
 
 ただし、こうしてどんな時でも慌てない気質は、まさに遠藤の真骨頂であり、そのままプレースタイルに反映されていた。高速化が進むピッチ上では、大半の選手たちがスピードを追求する。ところがその中で遠藤は冷静に逐一状況を見極めているから、少ないタッチで相手の逆や隙を突き最も効率的なプレーを引き出せる。

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