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合言葉は「ブラボー」。ポポヴィッチ新監督が鹿島にもたらす新風。要求はシンプルで、矢印は常にゴールに向けられている

カテゴリ:Jリーグ

河治良幸

2024年01月17日

スーパーチームに化ける可能性も

精神的支柱の鈴木も充実の笑顔。新体制に可能性を感じている様子だ。写真:河治良幸

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 基本はワンタッチ、多くてもツータッチをハーフコートで展開するというのは簡単ではない。もちろんミスも出るが、積極的にやり切ったミスに関して、ポポヴィッチ監督はネガティブなことを何も言わない。その代わり、テンポを落としたり、その場で停滞させると、すぐに強い要求の声が飛んでくるのだ。

 おそらくシーズンが迫っていけば、90分の尺や試合の流れを考えて、意図的にテンポを落とすようなことも入れていく必要があるだろう。しかし、現段階ではいかに方向性を植え付けるかが大事で、その矢印に選手たちもあえて乗っかっている印象だ。

 そのなかで、サイドバックが中盤を追い越すアクションなども非常に目立っていた。経験豊富な仲間にそうした意図を聞いてみる。

「鹿島の選手というのはどの監督になっても、その監督に合わせる姿勢をすごく見せる。だけど、ずっとそれではいけないので、その調整というか、少し戻すところをみんなで合わせていかないと。90分間、死に物狂いでやるのはできないし、というところで、戻す作業もこれから大事になっていくと思う。だけど今はみんながどんどんやっていけばいい」

 試合というのは生き物であり、勝つためにはどこかでゲームコントロールが必要になってくる。ただ、そこに関しては柴崎岳というスペシャリストもおり、何も心配はいらないだろう。

 仲間も「いるだけでというか、ゲームが落ち着くというか。本当に全体が見えてる選手」と前置きしながら、彼一人に任せてしまわず、イメージを共有しながらチーム力を高めていきたいと語る。
 
 正直に言ってしまうと、オフシーズンの鹿島の動きは、上位を争うライバルより地味だった。もちろん移籍のマーケットは閉じていないので、開幕までに“ラストピース”はあるかもしれないが、フィールドの補強は左利きセンターバックのヨシプ・チャルシッチとサイドアタッカーのギリェルメ・パレジという外国人の二人と、“ネクスト・アツト”の期待を背負う大卒ルーキーの濃野公人しかいない。

 しかし、元々いる選手たちのポテンシャルは高い。藤井智也や松村優太など、フルシーズン主力として稼働していなかったタレントたちが、ポポヴィッチ監督のもとでさらに覚醒すれば、スーパーチームに化ける可能性も秘めている。

 再び安西に聞いてみると、いつも笑顔のサイドバックは「今に見てろって思ってます」と目をギラつかせた。

取材・文●河治良幸

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