ハバーツの左SB起用で批判。ドイツ代表のナーゲルスマン監督が抱える苦悩【現地発】

カテゴリ:ワールド

中野吉之伴

2023年11月27日

「もっとハードにやらなければならない」

 ホッフェンハイム時代にナーゲルスマンに指導を受けたオーストリア代表MFフロリアン・グリリッチは、冗談めかしてこんなことを言っていた。

「ホッフェンハイム時代くらい細かく、全体的に落とし込もうとしていたら、間違いなく難しいだろうね」

 ナーゲルスマン自身は「戦い方はシンプルに」と口にしているし、本当に“シンプルに”取り組もうとしているのかもしれない。だが、彼にとっての「シンプルさ」は、選手にとってどこまでシンプルなのか。

 ホッフェンハイムやRBライプツィヒの監督時代、ナーゲルスマンは「戦術ではなく、大事なのはプレー原則。それが試合におけるプレー判断の基準になるし、それがあればシステムや戦い方を変えても選手は迷わない」ということを言っていた。いまのドイツ代表には、まさにそうした「プレー原則」が感じられない。
 
 アメリカ遠征で上手くいっていたボランチへの見せ球は影を潜めた。ビルドアップ時にパスの出口を抑えられたらそこから次のバリエーションがない。ロングボールを蹴ってもセカンドボールを拾えない。

「オーストリアの鋭いプレスに問題を抱えた。セカンドボールになかなか行けないのも問題だった」

 36歳の若き指揮官はオーストリア戦後にそう指摘していたが、では誰が、どこで、どのようにセカンドボールを回収すべきだったのか。ボックス・トゥ・ボックスタイプのゴレツカは守備ラインのすぐ前でスペースカバーの役割を担うが、これもはまらない。そもそもゴレツカは守備で力を発揮する選手ではないはず。ボーフム時代に18歳でトップデビューした時には「バラックの再来」と期待されたオフェンシブMFだ。

 ギュンドアンは奮戦していたが、やらなければならない役割が多すぎるのが気がかりだ。ドイツが抱えている問題を一人の選手ですべて解決はできない。

「ファンからの心配、批判的なメディアの声。でもそれの中に沈み込むのではなく、批判を受け入れて、我々はもっとハードにやらなければならない。自分たちのプレーをピッチにもたらせるように。メンタリティとエモーション、クオリティ。それぞれが必要だ」(ナーゲルスマン)

 かのヨハン・クライフの有名な言葉に「サッカーはシンプルなスポーツだ。だがシンプルにプレーするのが一番難しい」というのがある。それをいまナーゲルスマンは誰よりも感じていることだろう。

取材・文●中野吉之伴

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