新会長インファンティーノの素顔――FIFA、サッカー界はどう変わるのか?

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2016年02月29日

プラティニUEFA会長の下、事務局長として数々の施策を推進。

スキャンダルに巻き込まれたプラティニ(左)に代わり、“伏魔殿”に乗り込んだインファンティーノ新会長。FIFAのクリーン化を果たすことができるか!? (C) Getty Images

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 インファンティーノは、ブラッターと同じスイス・ヴァレー州出身の46歳。とはいえ、そのバックグラウンドは、生粋のドイツ語圏スイス人である前会長とは全く異なっている。
 
 両親は1960年代に南イタリア・カラブリア州から移民したイタリア人で、本人もスイスとイタリアの二重国籍を持ち、インテリスタであることを公言するなど、イタリアとの繋がりが深い。
 
 ドイツ語、イタリア語、フランス語、英語、スペイン語、そしてアラブ語という6か国語を操るマルチリンガルでもある。
 
 大学で法学を修めた後、スポーツ法を専門とする弁護士としてスイスやイタリアのクラブをめぐる訴訟に関わり、UEFAとコラボレーションを行なっているヌシャテル大学・国際スポーツ研究センターの事務局長を経て、2000年、30歳の時にUEFA入りした。
 
 法務部門のディレクターとしてUEFAクラブライセンス制度などを手がけた後、07年のプラティニ会長就任と同時に事務局次長に昇格。09年には事務局長となり、プラティニの片腕として、UEFAと欧州サッカーの発展に大きな貢献を果たしてきた。
 
 FIFA、UEFAと対立してきた欧州のビッグクラブ連合「G-14」の解散とUEFA傘下の欧州クラブ連合「ECA」への改組(07年)、クラブの慢性的赤字体質改善を目指したファイナンシャル・フェアプレー制度(FFP)の導入(11年)、欧州選手権(EURO)の参加国を16から24に拡大(16年大会から)……。
 
 プラティニ会長の下でUEFAが実現した施策は、いずれもインファンティーノが事務局長として進めてきたものだ。
 
 今回の対立候補だったアラブの王族アル・カリファは、FIFAの旧来的な利権を享受してきた――そしてできる限り、それを維持しようとする――立場にある守旧派であり、FIFA会長職を「利権の取りまとめと分配」という政治的な機能で捉える存在であると言える。
 
 一方のインファンティーノは、組織の透明化やサッカー界全体の発展に向け、新たな政策を打ち出していく姿勢を持った改革派であり、サッカーの現場に明るい有能な実務家としてFIFA会長の仕事に取り組む、新しいタイプのリーダーになり得る存在だ。
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