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チュニジア戦の先制シーンは理想的なビルドアップ。相手の守備的システムに対する崩し方の数を、もう少し増やしたい

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2023年10月18日

先制点は偶然ではない

圧巻の個人技を披露した久保。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 相手の左サイドハーフが前へ出て、板倉滉へ寄せてきたが、板倉は慌てず、相手1トップの脇へ顔を出した遠藤へパス。遠藤にはボランチが出て寄せてきたが、素早く菅原由勢へボールを逃がし、菅原は相手ウイングハーフを引きつけて、再び遠藤へパスした。

 このパス回しで、チュニジアは左サイドハーフ、左ウイングハーフ、左ボランチが釣り出された状態だ。ここでの遠藤の素早い判断が秀逸。スムーズに前を向くと、フリーの守田英正へ斜めにパスを送り、逆サイドへ展開する。守田は送れて寄せてきたボランチをかわし、ライン間でフリーの久保建英へ。芋づるを手繰り寄せるツタは、板倉、遠藤、菅原の三角形から始まっていた。

 とはいえ、チュニジアは一筋縄ではいかない。外されても粘り強く食らいつき、久保にも遅れて寄せてきた。しかし、久保はこれを背中でいなし、さらにフリーの旗手怜央へつなぎ、ゴールへ迫る。旗手は仕掛けのパスを相手に引っ掛けたが、うまく古橋亨梧のもとへこぼれ、日本が先制に成功した。

 最後は幸運と言えば幸運だが、古橋がゴール前で充分なスペースを得ていたのは、日本が芋づる式にスペースを切り裂いた故であり、これは偶然ではない。一列ずつ剥がす、理想的なビルドアップだった。
 
 だが、このような場面は多く見られたわけではない。チュニジアの固い守備を開けられず、1対1で相手を背負ったなかでフリックやターンで強引に突破したり、そこから押し込んでのカウンタープレス、ハイプレスで素早く攻め込んだりと、今の日本の勢いとアグレッシブさを押し出す場面はより印象的だった。特に久保の個人技、板倉の積極的なプレスは目を引くものがあった。

 また、チュニジアは試合終了間際までシュート0本。後半アディショナルタイムに打った唯一のシュートであるヘディングはゴールポストを強襲したが、試合全体を通してほとんどチャンスを与えなかった日本の積極的な守備が光った。

 ただ、そうしたアグレッシブさは評価に値するものの、さすがに疲れも出たか。チュニジアは身体が強く、球際の競り合いも巧みであるため、1対1の場面が増えると日本側の疲労が増し、さらに審判の判定がチュニジア優位に見えるストレスも選手を疲れさせた。

 やはり先制場面のような戦術的な崩し方の数を、もう少し増やせたらいい。特にアジア予選のアウェーはコンディションが優位にならないことが多く、アグレッシブさばかりを押し出すのはリスクも孕む。

 うまく先制できればいい。しかし、先制できずに後半を迎えた場合、カタールワールドカップのコスタリカ戦のような展開もフラッシュバックするだろう。

 相手の守備的システムに対するビルドアップ。来月から始まる2次予選を通じて、今一度向上させたいポイントだ。

取材・文●清水英斗(サッカーライター)

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