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「フリーターの自分は、先輩たちに比べればマシなほう」新潟FW長倉幹樹が見た社会人リーグの過酷な環境【インタビュー中編】

カテゴリ:Jリーグ

岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

2023年10月14日

「プロへの切符は自分で掴むもの」

プロ入りを果たした多くの先輩たちとともに成長した順天堂大時代。天皇杯ではJ2群馬と対戦し、刺激を受けた。写真:滝川敏之

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 結果を出せていなかったわけではない。関東大学リーグでチームは8位と振るわなかったが、個人として5得点。同年代で好成績を残してプロに進んだ土信田悠生(ロアッソ熊本/14点)や藤原悠汰(サガン鳥栖/13点)らに比べれば見劣りするかもしれないが、同じくプロ入りを果たしたFWの満田誠(広島/5点)や飯島陸(甲府/4点)と同等のゴール数だ。それでもプロのスカウトの目に留まらず、決断した進路は関東1部リーグ(5部相当)の東京ユナイテッドFCへの加入だった。

「Jクラブからのお話がなかったのは悔しかったです。ただ、プロへの切符は自分で掴むもの。自分はそれを掴めなかっただけだという現実を受け止めて、切り替えました。

 J3より下からのスタートになりましたが『何年かかってでも少しずつステップアップして、いずれプロになってやる』という気持ちで東京ユナイテッドFCに加入しました」

 誰よりも強い反骨心を持ち、クラブにもプロ入りへの強い想いを伝えたうえで臨んだ関東1部リーグでの戦いは、生易しいものではなかった。
 
 サッカー一本で生活できるプロとは違い、同クラブでの扱いはアマチュアだ。多くの選手が働きながらプレーしている。長倉は最速でのプロ入りを目ざすため、時間的に融通が利きやすいアルバイトを選択したが、自分の身体に気を遣える時間の少ない生活サイクルでの戦いは、心身ともに厳しかったはずだ。

「職場の器具を使って筋トレをできるので、ジムの見回りや監視のアルバイトをしていました。午前練習の時はトレーニングのあとにリカバリーする時間もなく、すぐに移動して働く。夜練習の時は働いたあとにグラウンドに行く、という流れです。

 キツかったですけど、フリーターの自分は正社員として働いている先輩たちに比べればマシなほうで。仕事の兼ね合いで、練習に途中からしか参加できない選手もいましたし、自分よりハードな仕事をしている人もいた。苦労している先輩たちを間近で見て、一緒にボールを蹴った時間は本当に良い経験になりましたし、改めてプロへの想いが強くなりました」

 過酷な環境下でもサッカーへの強い想いを持ちながらプレーする仲間たちの姿に感化され、長倉はさらに奮起。リーグ戦9試合で8ゴールを挙げた実績が評価され、J2群馬へのステップアップを果たす。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

※第2回終了(全3回)
※『サッカーダイジェスト』2023年10月号(9月8日発売)より転載。

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