タケの昨シーズンのダービーを振り返ると、ホームで行われた第１ラウンドは、２点目を決めるなど、３－１の勝利に貢献。サン・マメスでのリターンマッチは、ユーリのファウル覚悟の激しい守備に手を焼き、目立った働きを見せることができなかった。

　そんな中、試合を数日後に控えて、ソシエダの中心選手に成長したタケを標的にして、地元ビルバオのメディアがアグレッシブな論調の記事を掲載した。イレブンとファンの闘志に火をつけさせるには十分だった。そしてその急先鋒が当の本人であったのは言うまでもない。

　タケへの警戒度の高さは、ピッチ上にも顕著に現れていた。ボールを持つたびに、２人、３人のアスレティックの選手が囲い込まれ、その守り方はまるでライオンを檻に閉じ込めるようでもあった。

　しかしゴール前での勝負強さを身につけたタケは相手守備陣の想像のさらに上を行った。後半開始早々、起点となったのは、ロビン・ル・ノルマンのロングフィード。ミケル・メリーノが空中戦で競り勝って頭で落としたボールをブライス・メンデスがこれまた頭で運んでクロスを送り込むと、中央のウマル・サディクがスルーを選択。逆サイドに走り込んできたのがほかでもないタケ！ヘタフェ戦の先制点同様ダイレクトで蹴り込んだ。
 

　それまで密着マークで封じていたユーリはどうしてフリーでシュートを許したのか自問自答していたことだろう。その一方で、アリツ・エルストンドと約束していたというゴールセレブレーションは、近年、最大のライバルに対して劣勢を強いられ、余裕を失ってしまったアスレティックのファンをイラつかせたに違いない。

　さらにタケは守備面でも出色の働きを披露。ミケル・オジャルサバルのダメ押しの３点目のきっかけとなったのも、タケをはじめとしたアグレッシブにプレスをかけてボールを奪いに行く前線の選手のハードワークだった。

　試合後、「２回も叩いてきた」とユーリとの小競り合いの中での出来事に苦言を呈したタケだが、覚悟しておいたほうがいいだろう。今回のバスクダービーを経て明らかになったこと、それはチュリウルディン（ソシエダの愛称）の新たなディオス（神の意味）はライバルから最も警戒すべき選手として特定されていることだ。

取材・文●ミケル・レカルデ（ノティシアス・デ・ギプスコア）
翻訳●下村正幸

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