現地紙コラムニストが綴る――武藤嘉紀のブンデス挑戦記「本当の正念場はこれからだ」

カテゴリ:連載・コラム

ラインハルト・レーベルク

2016年02月04日

高額オファーが与えた影響は?

アタッカー陣に2人の新戦力を加えたマインツ。ボルシアMG戦で先発を飾った武藤だが、CFの定位置は決して安泰ではない。(C)Getty Images

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 再開後の2試合で、M&M(マッリと武藤)はほぼ消えていた。武藤はインゴルシュタット戦(18節/0-1)でベンチスタートだったし、後半途中に投入されたときには、すでにゲームの趨勢は決していた。マッリは90分間、敵のハードマークに苦しみなにもできなかった。ボルシアMG戦(19節/1-0)ではともに先発。マッリはゴール前での決定機がひとつあっただけでまるで目立たず。武藤はセンターフォワードとして絶えず動き回ったが、チームメイトと効果的に絡めず、フィニッシュには至らなかった。

 若い選手たちはやはり、移籍のオファーや噂、高額サラリーへの期待、代理人の助言などによって、影響を受けるものなのだろうか。即答するのは難しい。善き人物か否かという点では、マッリも武藤もまったく疑いの余地がない。2人とも知性的で、しっかり受け答えができる。とはいえ、自分の口座に何百万ユーロもの金が入ってくるかもしれないのに、ナーバスにならない人間などいるだろうか。そしてこんな大型オファーがまた夏にも必ず来ると、誰が保証できるだろうか。もし後半戦で大怪我をしたらどうなるのか。興味を持っていたクラブが手を引くのではないか。マッリと武藤は、頭の中でも気持ち的にも、軽快さを失っているのかもしれない。

 ひょっとすると武藤は、インゴルシュタット戦で突然先発から外されたことで、少なからずショックを受けたのかもしれない。ボルシアMG戦では良いプレーをしなければと気負っていたのではないか。野心的に、自分の力を証明しようと躍起になって……。こういう感情がプロスポーツで役に立つことは稀である。

 武藤にとって、これからの数週間は容易ではない。センターフォワードのポジションでは、ジョン・コルドバというライバルが台頭してきた。それに加えて、2部のブラウンシュバイクから194センチのエミール・ベルググリーンを獲得した。いわば、フライブルクへレンタル移籍したフロリアン・ニーダーレヒナーの後釜。昨夏にハンブルク入りも取り沙汰されたデンマークU-21代表の俊英で、将来を嘱望されるビッグタレントだ。

 ウイングの2つのポジションを巡っては、武藤、ハイロ・サンペリオ、クリスティアン・クレメンス、パブロ・デ・ブラシスと、カリム・オニシウォが争う。今冬に入団したオニシウォはコンタクトプレーに絶対の自信を持つ23歳で、昨年11月にオーストリア代表デビューを果たした上昇株だ。

 選手層が厚くなったチームの中で、武藤は本当の意味で自分のポジションを確立しなければならない。本当の正念場はこれからだ。

文:ラインハルト・レーベルク
翻訳:円賀貴子

【著者プロフィール】
Reinhard REHBERG(ラインハルト・レーベルク)/『ライン新聞』で1987年から27年にわたってマインツの番記者を務める。現在はフリーで、「マインツァー・アルゲマイネ新聞」のコラムニストを務める一方、監督業を志す指導者に向けたコーチングも行なっている。マインツ出身、57年7月30日生まれ。
 
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