しかしながら、記録に残る仕事がチームの勝利につながらなかったのは悔やまれる。１－０で折り返した後、後半のランスは停滞。２点を立て続けに失い、ビハインドを背負うことになった。

　中村はワイドな展開から左のスペースでボールを受け、ドリブルで仕掛けた63分のビッグチャンスなどを演出したが、どうしても同点弾を奪えない。結局、77分に交代。チームの敗戦をベンチから見つめることになった。

「勝てたな、マジでもったいない。前半はもう圧倒してたしね。後半の入りがぬるかった。特に（相手に独走されて決められた）２失点目は対応が良くなかった。３対１くらいで守備の人数は揃っていたので、潰してもらえたら失点はなかったですね。

　これからリール、リヨン、モナコって相手を考えると、ブレストには勝っておきたかった。もう切り替えてやるしかないですよね」と中村は無念さを滲ませつつ、先を見据えていた。

　そういったなかでも、中村自身は新天地でやるべきことが徐々に明確になっている様子だ。たとえば今回のブレスト戦であれば、サイドバックが高い位置を取ると間のスペースが空くことから、そこを使ってプレーすることがメインテーマだった。
 

「それであのターンをして、剥がして１人で持って行く決定的なシーンを作れた。本当に狙い通りだったし、それ以外にも結構受けられるシーンがあったと思います。まだ５試合だし、シーズンも長いので、これから結果を出していけばいい。

　ポジション争いもありますけど、それがないとパフォーマンスが向上しないと僕は思っている。練習からしっかり取り組んで、自分のレベルを上げていきたいですね」と、本人は役割を整理しつつ、チームに適応。結果が出そうな手応えも感じつつあるという。

　いち早く順応できているのは、やはり伊東純也という偉大な先輩がいるからだろう。

「一緒にやっていて、勉強になることばかりですね。僕は左で持った時に、カットインで縦に行けるようになりたいと思ってるんですけど、そこで最初に見るのは純也君のところ。一番遠いところから見て、マークがいるんだったら手前を狙うとか考えてやってます」と、中村は伊東を活かす意識を常に持ちながらプレーしている。

　中村からの折り返しに伊東が詰める、あるいはその逆でゴールが生まれるようになれば、ランスにとっても、２人にとっても大きなプラスと言っていい。

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