【旧知の記者が激白】ペップはなぜシティを選び、なぜ3年契約だったのか?

カテゴリ:メガクラブ

マルティ・ペラルナウ

2016年02月02日

例え困難にぶつかっても、逆に理想郷を追い求めるうえで活力に。

ペップがこだわるのはタイトルの数ではなく、率いたチームになにを残せるか。ラーム(左)をはじめとする選手たちは退任発表の際に「彼の下で成長できた」と語っており、それこそが本人にとって無上の喜びなのだという。(C)Getty Images

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「新しい建物を建てるのと似た感覚」
 
 ペップはチーム作りについてそう語る。図面を作成し、必要な材料を集め、それを巧みに活用しながら、みずからが思い描く理想を形にしていく。もちろん、その過程で困難や試練に直面するケースもあるが、バルサでもバイエルンでも、彼は見事な“家”を完成させることに成功している。
 
 現代社会には結果ですべてを判断する風潮が蔓延している。フットボール界もその例に漏れず、とりわけメガクラブの監督は、獲得したタイトルの数が最大の評価基準となっている。ペップは監督9年目にしてすでに19個のタイトルを獲得しているが、彼にとってそうしたコレクションの数々は付随的な要素に過ぎない。
 
 それよりもクラブを去る際に、チームになにを残せるかを彼は重視する。今シーズン限りでのバイエルン退団を発表した直後、フィリップ・ラーム、シャビ・アロンソ、ハビ・マルティネス、フランク・リベリ、アリエン・ロッベン、チアゴ・アルカンタラ、ジェローム・ボアテング、トーマス・ミュラーといった主力選手は、一様に指揮官に対して感謝の意を表した。「彼のおかげで選手として成長できた」と。それこそがペップにとってのなによりの喜びなのだ。
 
 プレミアリーグという未知の世界に身を置けば、困難に直面することもあるだろう。だが、ペップにとってはそれも理想郷を追求する活力になるはずだ。
 
 実際彼は、バルサからバイエルンに移ったことで、監督として一回りも二回りも成長した。インテンシティーが高く、1試合平均のスプリント回数が世界最多というブンデスリーガにおいて、両サイドバックをインサイドハーフに近い位置でプレーさせるアイデアを取り入れるなど、戦術面でさまざまな新機軸を打ち出している。
 
 ペップ・バルサはポゼッション原理主義をとことん貫いたチームだった。翻ってペップ・バイエルンは、サイドからのドリブル突破を多用し、ミュラー、ロベルト・レバンドフスキというふたりのストライカーの決定力を活かした、縦に速いフットボールを展開している。このプレースタイルの変化こそが、ペップがバイエルンで学び、吸収し、そして探し当てた新機軸の戦術としての回答なのである。
 
 彼はシティでも、自身の“作品”に異なるエッセンスを取り込むだろう。われわれは数年前のバルサや現在のバイエルンともまた違う、新たなペップのチームを目撃することになるのだ。
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