チェックリストには入っているが、優先順位は低い。

期待の新戦力デパイ(右)が期待を裏切るなど攻撃陣に元気がなく、21節を終えて6位に甘んじるマンチェスター・ユナイテッド。ファン・ハール監督(左)の解任も囁かれはじめている。(C)Getty Images
それにしても、そもそもなぜ武藤にユナイテッド移籍の噂が持ち上がったのか。それは今シーズンのユナイテッドが、深刻な得点力不足に悩まされているからだ。1月12日のニューカッスル戦で3ゴールを奪ったとはいえ、プレミアリーグ21試合を終えた時点で総得点はわずか27、無得点試合は7試合もある。固め打ちがある一方で、継続してゴールを奪えていないのだ。
シーズンを通じてチーム全体が低調なパフォーマンスに終始しており、ルイス・ファン・ハール監督のコンサバなプレースタイルにサポーターは辟易し、最近では本拠地オールド・トラフォードでのブーイングはお馴染みになっている。
この状況に足を引っ張られるように、開幕直後は強烈なインパクトを放っていた新戦力アントニー・マルシアルは得点を重ねられず、同じくニューカマーのメンフィス・デパイに至っては完全に期待外れ。さらにエースのウェイン・ルーニーも本来のキレを欠いている。
そのためのカンフル剤として、若手で活きのいい武藤の名前が挙がっているのである。とはいえ、欧州での経験がまだ半年の、プレミアリーグでは未知数の23歳に、ユナイテッドほどのクラブが冬の市場で獲得に動くだろうか。シーズン後半戦の命運を握る存在にならなければいけないこと考慮すれば、答えは当然「NO」となる。
それよりも、より実績のある選手を獲得するほうが適切であり、例えば以前から名前が挙がっているサウサンプトンのサディオ・マネのほうが、より信憑性は高いはずだ(獲得に成功するか否かは別の話だが)。
つまり現段階では、今回の話は「ユナイテッドのチェックリストには入っているが、優先順位は低い」と言わざるをえない。
移籍専門記者による強化部門解説|マンチェスター・ユナイテッド編「ウッドワードCEOは代理人たちに“カモ”にされている」
3節のハノーファー戦で武藤が2ゴールを挙げた際には、マインツからプレミアリーグへと羽ばたいた先輩の岡崎が「素晴らしいこと。本人は手ごたえを掴んでいるはずだ」と称えていた。そして、あれから4カ月が経過し、さらに自信を掴んでいるのは確実だ。
それでもなお今冬の移籍、とりわけビッグクラブへの挑戦は、時期尚早と判断すべきだ。まずは今シーズン後半戦も継続的に結果を残して、しっかりと成長を遂げることが先決だろう。それが叶った暁には、プレミアリーグへのステップアップも本格的に視野に入ってくるに違いない。
文:松澤浩三
シーズンを通じてチーム全体が低調なパフォーマンスに終始しており、ルイス・ファン・ハール監督のコンサバなプレースタイルにサポーターは辟易し、最近では本拠地オールド・トラフォードでのブーイングはお馴染みになっている。
この状況に足を引っ張られるように、開幕直後は強烈なインパクトを放っていた新戦力アントニー・マルシアルは得点を重ねられず、同じくニューカマーのメンフィス・デパイに至っては完全に期待外れ。さらにエースのウェイン・ルーニーも本来のキレを欠いている。
そのためのカンフル剤として、若手で活きのいい武藤の名前が挙がっているのである。とはいえ、欧州での経験がまだ半年の、プレミアリーグでは未知数の23歳に、ユナイテッドほどのクラブが冬の市場で獲得に動くだろうか。シーズン後半戦の命運を握る存在にならなければいけないこと考慮すれば、答えは当然「NO」となる。
それよりも、より実績のある選手を獲得するほうが適切であり、例えば以前から名前が挙がっているサウサンプトンのサディオ・マネのほうが、より信憑性は高いはずだ(獲得に成功するか否かは別の話だが)。
つまり現段階では、今回の話は「ユナイテッドのチェックリストには入っているが、優先順位は低い」と言わざるをえない。
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3節のハノーファー戦で武藤が2ゴールを挙げた際には、マインツからプレミアリーグへと羽ばたいた先輩の岡崎が「素晴らしいこと。本人は手ごたえを掴んでいるはずだ」と称えていた。そして、あれから4カ月が経過し、さらに自信を掴んでいるのは確実だ。
それでもなお今冬の移籍、とりわけビッグクラブへの挑戦は、時期尚早と判断すべきだ。まずは今シーズン後半戦も継続的に結果を残して、しっかりと成長を遂げることが先決だろう。それが叶った暁には、プレミアリーグへのステップアップも本格的に視野に入ってくるに違いない。
文:松澤浩三