【セリエA現地コラム】二桁順位から2位まで浮上。ユベントスはなぜ復活できたのか?

カテゴリ:連載・コラム

片野道郎

2016年01月14日

ディバラは「テベスの後継者」に相応しい活躍ぶりだ。

技巧と戦術眼を利して攻撃の全局面に絡むディバラ(右)と、最前線で汚れ仕事を引き受けるマンジュキッチ(左)。いまやセリエA屈指の2トップだ。(C)Alberto LINGRIA

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 とはいえ、復調にとって最も大きな要因をひとつだけ挙げるとすれば、ディバラ&マンジュキッチという2トップの定着と活躍になるだろう。
 
 昨シーズンにパレルモでブレイクし、ボーナス込みで4000万ユーロ(約56億円)という高額の移籍金で加入したディバラは当初、コンスタントな出場機会を得るには至らなかった。1トップとして前線を自由に動き回りカウンターアタックで違いを作り出していたパレルモ時代とは異なり、ユーベでは相手を押し込んだ狭いスペースで周囲と連携しながら局面を打開するというタスクを求められたこともあり、やや窮屈そうなプレーが目立っていたのだ。
 
 だが、純粋なCFタイプであるマンジュキッチとペアを組んでからは、中盤と前線の間を行き来しながら敵2ライン(DFとMF)間で数多くボールに触り、そこからの仕掛け、そして前線に飛び込んでのフィニッシュまで、攻撃の全プロセスに積極的に絡んで、決定的な違いを作り出している。
 
 11節からの9連勝中は5得点・4アシストという活躍ぶり。夏にボカへ帰還したカルロス・テベスの穴を完全に埋めて、攻撃のキープレーヤーとしての地位を確立しつつある。
 
 そして相棒マンジュキッチも、最前線で敵DFを背負ってのポストプレーからボールロスト直後の献身的なプレスまで、ディバラと比べて目立たないながらも、チームのために汚れ役に徹して、大きな貢献を果たしている。
 
 このように、チームの基本形が3-5-2で固まって、最終ラインから前線まで、すべてが正しく噛み合って機能し始めて以降、ユーベは安定した強さを発揮している。
 
 それに加えて、ライバルに対する戦力的な優位性、さらには首位争いを戦い抜く経験値の高さも考えれば、シーズン折り返しを迎えたこの時点で改めて、スクデット争いの一番手に躍り出たと言っていいだろう。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
片野道郎/1962年生まれ、仙台市出身。95年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させる。『ワールドサッカーダイジェスト』では、現役監督のロベルト・ロッシ氏とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博している。
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