プリンスリーグ関東２部、流通経済大柏セカンドとの一戦で、松田は多彩なボールタッチと、瞬時の判断でプレー変更して、相手のスライドを遅らせるなど、頭脳的かつ躍動感溢れるドリブルや仕掛けを見せた。

　０－０で迎えた72分、ペナルティエリア右のスペースにいる松田にクサビのパスが入ると、「最初はそのまま右にドリブルを仕掛けようとしたのですが、僕のマークについた選手がそれに対応しようとするのが見えたので判断を変えました」と、左足アウトサイドでファーストタッチして、瞬間的なターンでゴールに身体を向けた。

　慌ててシュートコースを切りにきた相手を見て、右サイドでフリーになった右サイドバック杉野太一へ絶妙なパス。杉野はニアサイドに鋭いクロスを入れると、これをFW宮下拓弥がダイレクトでゴールに突き刺した。

「ドリブルで勝負することも持ち味ですが、それ一辺倒では良くないし、先制ゴールのシーンで強引に仕掛けていたら、杉野や宮下の動き出しを消してしまっていたかもしれません。最近、突破だけではなく、サイドバックやボランチなども前に出て行けるような『タメを作るドリブル』を意識していて、それが結果に繋がったシーンなので、僕の中で成長を感じる大きなプレーでした」
 

　感覚に頼るのではなく、プレー分析をしながら改善点や、伸ばして行ける点を見つけて磨いていく。

「今は右足をどこでワンポイントやアクセントで入れていくかも考えています。僕は中村俊輔選手や西川潤選手のようにプロでも戦える武器がある選手になりたい。今、持っている自分の武器をもっと上のレベルで通用するものにするために、今から意識してやらないと、この先の世界では生きていけないと思うので、より工夫をして、練習をして、相手にとって嫌なことをもっとしたいと思います」

　長所を磨くという重要なことを、口だけではなく、頭とプレーをリンクさせながら実践していく。松田はドリブルだけではなく、コツコツと努力を重ねられるという大きな武器を持っている。

取材・文●安藤隆人（サッカージャーナリスト）

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