個人的にとくに目立っていたと思うのは菅原。右サイドバックのポジションを与えられて、これまで、このポジションを務めていた山根より、さらに運動量多く、さらに１対１の応対能力を上げて、ディフェンスも強烈にできて、なおかつ攻撃参加ができるというところを完璧に見せつけた。そこまでの選手じゃないと思ってたんだけど、新たな発見だったね。

　菅原は今回、右ウイングの伊東と縦関係で、エルサルバドル戦では久保と縦関係だった。それぞれ、コンビを組む相手によって、ポジションの取り方を変えていた。

　伊東の場合は、自分で縦に突破できるので、それをフォローしつつ、インサイドを取りながらインナーラップができる位置取りをしていた。久保の時は、中盤との連係を邪魔しないようにしつつオーバーラップを仕掛けて、久保が中にカットインしやすいような状況を作るなど、工夫していたね。

　伊東と久保を活かすための走るタイミング、走り出す前のポジショニングなど、色々なことを考えながらプレーしているように感じた。そのうえで、あれだけ守備ができて、あれだけアップダウンができるのだから、本当に良い選手だよ。
 

　センターフォワードで先発した古橋は、今まで自分のタイミングで動き出しても、なかなかボールが出てこなかった。でもペルー戦では、過去の試合の中で一番、古橋にしっかりとパスが出た試合だったんじゃないかな。

　それは、伊東も古橋の動きを見て、クロスを上げていたし、鎌田もパスはあまり通らなかったけどしっかり見ていた。自分の動きに合わせてくれる選手が少しずつ増えてきたのは、古橋にとっても収穫だった。

　だからこそ、厳しいことを言うようだけど、結果を出さなければいけなかった。今回のような試合で点を取れないとセンターフォワードのポジション奪取は、遠ざかっていく。プレーが悪かったと言っているわけじゃないけどね。

　とにかく全体の内容としては、カタール・ワールドカップ後、最高のゲームだったと思う。本当に良い試合だった。

【著者プロフィール】
金田喜稔（かねだ・のぶとし）／1958年２月16日生まれ、65歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車（現・横浜）でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。

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