オーナーみずからが自チームを映像作品化
遡ること3年、とある2人組がクラブを買収した。これをきっかけにレクサムは劇的な変貌を遂げていく。その2人組というのが、ハリウッド俳優のライアン・レイノルズとロブ・マケルヘニーだ。ライアンとロブは、前衛的なプロジェクトを持ち込み、それをあっという間に軌道に乗せたばかりか、巨大な“バズ”を生み出してみせたのである。
チームに密着カメラを入れ、ピッチ内外を赤裸々に映し出すドキュメンタリー番組の制作がそのひとつ。「Welcometo Wrexham」と銘打たれたその番組は、『ディズニープラス』や『Hulu』で配信され、たちまちのうちに評判になった。クラブの密着ドキュメンタリーと言えば、マンチェスター・シティやアーセナルの「オール・オア・ナッシング」が話題を呼んだが、オーナーみずからがプロデューサーとなって自チームを映像作品化したのは斬新で、ビッグクラブのスターたちよりもっと身近な選手たちが悪戦苦闘する姿にファンは共感し、誰もがレクサムの虜になった。
ハリウッドからやってきたライアンとロブは、計算高く、緻密に、プロジェクトを進めていった。正GKのロブ・レイントンが3月に大怪我を負うと、その穴埋めに元イングランド代表のベン・フォスターと契約した。昨シーズン限りでユニホームを脱いだ39歳(4月3日の誕生日で40歳)をわざわざ引退生活から引っ張り出したのは、ソーシャルメディアでの影響力を買ってのことだった。
【動画】「奥さんといるとこ初めて見た」と反響!三笘と妻クリアさんの貴重な夫婦同伴姿をチェック!
チームに密着カメラを入れ、ピッチ内外を赤裸々に映し出すドキュメンタリー番組の制作がそのひとつ。「Welcometo Wrexham」と銘打たれたその番組は、『ディズニープラス』や『Hulu』で配信され、たちまちのうちに評判になった。クラブの密着ドキュメンタリーと言えば、マンチェスター・シティやアーセナルの「オール・オア・ナッシング」が話題を呼んだが、オーナーみずからがプロデューサーとなって自チームを映像作品化したのは斬新で、ビッグクラブのスターたちよりもっと身近な選手たちが悪戦苦闘する姿にファンは共感し、誰もがレクサムの虜になった。
ハリウッドからやってきたライアンとロブは、計算高く、緻密に、プロジェクトを進めていった。正GKのロブ・レイントンが3月に大怪我を負うと、その穴埋めに元イングランド代表のベン・フォスターと契約した。昨シーズン限りでユニホームを脱いだ39歳(4月3日の誕生日で40歳)をわざわざ引退生活から引っ張り出したのは、ソーシャルメディアでの影響力を買ってのことだった。
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フォスターは登録者数140万人超のチャンネルを持つ大人気ユーチューバーでもある。フォスターはさっそくクリエーターとしての真価を発揮する。試合中に動画を回し、ゴールマウスの中にGoProを仕掛けてみたり、自分の胸元にカメラを付けてプレーしてみたり、超レアな映像を次々とアップしてオーナーの期待に応えている。
ライアンとロブのプロジェクトが素晴らしいのは、こうしてクラブをバズらせながら、いわゆる“町おこし”で地域社会に貢献していることだ。スタジアムに人を集め、それによって雇用を生み出し、地元経済を活性化し、どんよりと曇った地方都市だったレクサムに活気を取り戻している。
僕の知人なんて独身最後のスタッグパーティーをレクサムの試合観戦にしたくらいだ。ハリウッドからやってきた気鋭のオーナー2人の取り組みは社会的、政治的にも注目と評価を集め、昨年12月にはチャールズ国王が視察に訪れている。
レクサムは今シーズン、5部に相当するナショナルリーグを制してリーグ2への昇格を決めた。ついにノンリーグを脱出し、16年ぶりのフットボールリーグ返り咲きだ。
ライアンとロブのレクサムは、フットボールの未来かもしれない。
文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)
Steve MACKENZIE
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーターだ。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で手掛け出版した。
※『ワールドサッカーダイジェスト』2023年6月1日号より転載
ライアンとロブのプロジェクトが素晴らしいのは、こうしてクラブをバズらせながら、いわゆる“町おこし”で地域社会に貢献していることだ。スタジアムに人を集め、それによって雇用を生み出し、地元経済を活性化し、どんよりと曇った地方都市だったレクサムに活気を取り戻している。
僕の知人なんて独身最後のスタッグパーティーをレクサムの試合観戦にしたくらいだ。ハリウッドからやってきた気鋭のオーナー2人の取り組みは社会的、政治的にも注目と評価を集め、昨年12月にはチャールズ国王が視察に訪れている。
レクサムは今シーズン、5部に相当するナショナルリーグを制してリーグ2への昇格を決めた。ついにノンリーグを脱出し、16年ぶりのフットボールリーグ返り咲きだ。
ライアンとロブのレクサムは、フットボールの未来かもしれない。
文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)
Steve MACKENZIE
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーターだ。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で手掛け出版した。
※『ワールドサッカーダイジェスト』2023年6月1日号より転載