ベストタイミングでの活躍! 好印象のままで年を越すことに。

昨シーズンは年明けのアジアカップ出場で調子を落とし、チームともども復調はならなかった。今回は年始から上昇していくことができるか。2016年の本田に期待したい。 (C) Alberto LINGRIA
ガッリアーニが発したコメントの最後の部分は、非常に重要だ。
ほとんどのイタリアのメディアは、本田とミランがこの1月に決別すると信じていた。
しかし先日、本田がガッリアーニと会見をした時も、彼は自分を放出してくれとは決して言わなかった。それどころか、「自分の性格として、チームが困難な時期に、見捨てて出ていくことはしない」とまで言ったという。
彼の状況を一変させたフロジノーネ戦の前の時点でも、「とにかく6月まではミランに残る」と本田は主張したのである。どうやら彼は、ニンジャより、サムライの精神を持っているらしい。来年6月には移籍の可能性もあるが、今ではそれも確かではなくなった。
さてそうなると、今後のシナリオはどうなるのか? 本田はとても良いタイミングで活躍を披露した。なぜなら、この長いクリスマス休暇の間、ミハイロビッチの頭のなかには、ずっとポジティブな本田のイメージが残るからだ。
次の試合は1月6日、サン・シーロでのボローニャ戦だ。本田がまたもスタメンに入る可能性は、大いにある。
それに本田の今のポジションは、誰でも務められるものではない。戦術的なインテリジェンスと自己犠牲の精神がなければダメだ。この自己犠牲の精神は、本田の直接のライバルであるチェルチも、この1月に新たに契約するボアテングも、本田ほど持ち合わせていないのは明らかだ。
ホームでナポリに破れた最悪のタイミングで爆弾発言をして以来、本田はミラン加入以来、最悪な日々を過ごしていた。11試合連続ベンチスタートで、全てを合わせてもプレーした時間はたったの51分。昨シーズンはレギュラー争いとほぼ無縁だった選手にとって、非常に辛い時期だったことだろう。
この3か月間、本田がミハイロビッチを納得させられなかった理由は何か? それは、強い気持ちだ。
一時期、例の爆弾発言により、確かにミハイロビッチは気分を害していた。しかしチームの調子が悪く、自分の首さえ危うい状態で、選手の選り好みは言っていられない。本田が本当に良いプレーを見せたなら、ミハイロビッチは迷わず使っていたろう。
しかし、時折チャンスを与えても、これまでの本田はそれを活かしきることができなかった。この頃は彼から、強い闘志が感じられなかったのである。
ミハイロビッチは数週間前から、より積極的でやる気のある、イニシアティブのとれるアタッカーを求めていた。フロジノーネ戦での本田はその全てを見せ、何人ものチームメイトにゴールのチャンスを与えていた。彼のおかげで多くの選手がより良い、より危険なプレーができた。
サッカーの世界では、時にほんの数分で、未来が大きく変わってしまうことがあるのだ。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
ほとんどのイタリアのメディアは、本田とミランがこの1月に決別すると信じていた。
しかし先日、本田がガッリアーニと会見をした時も、彼は自分を放出してくれとは決して言わなかった。それどころか、「自分の性格として、チームが困難な時期に、見捨てて出ていくことはしない」とまで言ったという。
彼の状況を一変させたフロジノーネ戦の前の時点でも、「とにかく6月まではミランに残る」と本田は主張したのである。どうやら彼は、ニンジャより、サムライの精神を持っているらしい。来年6月には移籍の可能性もあるが、今ではそれも確かではなくなった。
さてそうなると、今後のシナリオはどうなるのか? 本田はとても良いタイミングで活躍を披露した。なぜなら、この長いクリスマス休暇の間、ミハイロビッチの頭のなかには、ずっとポジティブな本田のイメージが残るからだ。
次の試合は1月6日、サン・シーロでのボローニャ戦だ。本田がまたもスタメンに入る可能性は、大いにある。
それに本田の今のポジションは、誰でも務められるものではない。戦術的なインテリジェンスと自己犠牲の精神がなければダメだ。この自己犠牲の精神は、本田の直接のライバルであるチェルチも、この1月に新たに契約するボアテングも、本田ほど持ち合わせていないのは明らかだ。
ホームでナポリに破れた最悪のタイミングで爆弾発言をして以来、本田はミラン加入以来、最悪な日々を過ごしていた。11試合連続ベンチスタートで、全てを合わせてもプレーした時間はたったの51分。昨シーズンはレギュラー争いとほぼ無縁だった選手にとって、非常に辛い時期だったことだろう。
この3か月間、本田がミハイロビッチを納得させられなかった理由は何か? それは、強い気持ちだ。
一時期、例の爆弾発言により、確かにミハイロビッチは気分を害していた。しかしチームの調子が悪く、自分の首さえ危うい状態で、選手の選り好みは言っていられない。本田が本当に良いプレーを見せたなら、ミハイロビッチは迷わず使っていたろう。
しかし、時折チャンスを与えても、これまでの本田はそれを活かしきることができなかった。この頃は彼から、強い闘志が感じられなかったのである。
ミハイロビッチは数週間前から、より積極的でやる気のある、イニシアティブのとれるアタッカーを求めていた。フロジノーネ戦での本田はその全てを見せ、何人ものチームメイトにゴールのチャンスを与えていた。彼のおかげで多くの選手がより良い、より危険なプレーができた。
サッカーの世界では、時にほんの数分で、未来が大きく変わってしまうことがあるのだ。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。