【現地記者の英国通信】イングランドで注目度急上昇のノンリーグの現状と人気の理由

カテゴリ:ワールド

スティーブ・マッケンジー

2015年12月23日

ひどいブーイングから感じたフットボールを愛する非日常的な日々。

ピッチとの距離が近いこともあり、臨場感があるノンリーグのゴール裏。 (C) STEVE MACKENZIE

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 無事にチケットを購入した私とルーカスが選んだ席はゴール裏のチケットで前から2列目の席だった。チケット売り場の販売員によれば、この席のチケットは最も売れているらしい。普段、記者席から試合を眺めることが多い私にとっては珍しい機会でもあったのだ。
 
 ブロムリーファンが居座ったその場所は、立って観戦するファンと座って試合を眺めるファンが混在していた。
 
 ファン同士の会話や声援からは決して11歳(ルーカスの年齢)に適した言葉は聞き出せなかったが、彼らは愛するチームと選手に向けたチャントを歌い続けていた。そうした光景はフットボールを純真に愛する非日常的な日々を思い起こさせた。
 
 イングランドのスタジアムはピッチとスタンドの距離が非常に近いのだが、ノンリーグの魅力のひとつとして、ピッチ内の選手の声をしっかりと聞きとれることが挙げられる。
 
 それによってサイドバックやウイングといったピッチサイドに近いプレーヤーは相手ファンからのひどいブーイングを浴びるのだが、ファンがピッチに投げつける言葉はお世辞にも褒められたものではない。
 
 とくにGKに対しては、少しでも気を散らそうとゴールキックやCKの際にファンのターゲットになりやすい。この試合でもGKには飛びきりのブーイングが浴びせられていた。
 
 結果はブロムリーが1-3で敗れたが、内容では終始相手を上回り、試合を支配していた惜しいゲームだった。
 
 この試合の入場者数は私とルーカスを含め1737人。そのうちの45人はアルリントンチャムのファンたちで、ノンリーグということを考えれば決して悪くない数字と言えるだろう。
 
 イングランドでノンリーグの人気が増加傾向にあるのは、プレミアリーグの一部の選手たちの気のない振る舞いと、彼らの高い給与に幻滅したファンたちがより身近なノンリーグにシンパシーを感じているからだ。
 
 ノンリーグへのファンの流入は、ファンを置き去りにしつつあるプレミアリーグへの警告と捉えてもいいかもしれない。
 
文:スティーブ・マッケンジー
 

スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。

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