【金沢】新戦力ロマリーニョは父ロマーリオと全ての面で一線を画す

カテゴリ:Jリーグ

沢田啓明

2015年12月08日

ブラジルで二世選手の成功例はかなり少ない。

現役時代は世界屈指のスコアラーとして活躍し、現在はブラジルの上院議員を務めるロマーリオ。ロマリーニョはこの偉大なる父親と常に比較されてきたが、今回の日本移籍を機に“父離れ”宣言も。(C)REUTERS/AFLO

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 移籍に際して本人は、「親父からは、『日本で頑張れ』と激励された」と言いながらも、「ブラジルではいつも親父と比べられて、とても辛い思いをしてきた。これから、僕は僕の道を歩むんだ」と“父離れ”を宣言する。
 
 もちろん、日本でもメディアとサポーターからは、「あのロマーリオの息子」という目で見られるはずだ。しかし、まだ22歳と若く、経験にも実績にも乏しい。サッカー史上でも屈指のゴールゲッターだった父親と比べるのは、いかにも無理がある。
 
 また、日本での生活とプレースタイルに順応できるかどうかにも、不安がある。熱帯性気候のリオ育ちで、寒さにまったく免疫がない。また、守備意識の低さも懸念材料。クラブ関係者が日本の習慣、日本人のメンタリティーをきちんと教え、監督やコーチが彼に求めるプレーを具体的に伝えて、本人を納得させる必要がある。
 
 ちなみに、ブラジルには二世選手が少なくないが、親子揃って大きな成功を収めた例はほとんどない。
 
 ほぼ唯一の例外が、1929年から1950年までフラメンゴなどで活躍した伝説の名CBドミンゴス・ダ・ギアと、1960年から1977年までパルメイラスの攻撃の中心を担ったMFアデミール・デ・ギアの親子だ。
 
 ペレの長男エジーニョはGKとしてサントスなどで短期間プレーしただけで、ジーコの三男チアゴも多くのクラブを渡り歩いたが目立った実績を残せなかった。リバウドとベベートの息子はまだ現役だが、これまでのところ父親と比べるまでもない。
 
 また、1990年代に鹿島アントラーズやヴェルディ川崎、コンサドーレ札幌で活躍したFWアルシンドの息子イゴールも、2011年に鹿島に入団したが、2試合出場しただけで退団。現在は全国リーグ4部のレッドブル・ブラジルで細々とプレーしている。
 
 二世選手にとっての最大の問題は、余りにも豊かな家庭に育ったためハングリー精神に乏しく、精神的な逞しさに欠けることだろう。それはロマリーニョにも当てはまる。
 
「二世選手は大成できない」という慣例を、ロマリーニョが打ち破ることができるのか。FWとしての素質は父親から受け継いでおり、あとは本人の心構えと努力次第だろう。
 
文:沢田啓明
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