アクシデントにも怯まず見事なサッカーを披露して6年ぶりV

怪我人がどれだけ出ようとも、信念を曲げずにバルサ・スタイルを貫き続けた末の戴冠。喜びは大きかったが、この先にさらなる栄光が待ち受けているはずと、選手も、スタッフも、バルセロニスタも確信していたことだろう。 (C) Getty Images

オランダ人選手の大量流入時と同様、ブラジル人の増加は“レジェンド”ヨハン・クライフから批判を浴びたが、カンテラ出身選手との適度なバランスを保って高度なサッカーを披露したことにより、バルセロニスタからは受け入れられた。 (C) Getty Images
前シーズン、後半戦からの快進撃でリーガ2位という久々の好成績を収めたバルサ。改革2年目となる2004-05シーズンへ臨むにあたり、思い切った選手の入れ替えを敢行した。
ロナウジーニョを核としたチーム作りのために必要な戦力を獲得するとともに、長くバルサを染めていた「オランダ色」をほぼ一掃。代わりにベレッチ、シルビーニョ、エジミウソン、デコなど、ブラジル産の逸材が多く到来することとなった。
選手では唯一のオランダ人となったジョバンニ・ファン・ブロンクホルストは、昨シーズンはアーセナルからのレンタルだったが、晴れて完全移籍を果たし、このシーズンも左SBを担うこととなった。
ライカールト監督が望んだのは「優れたフィジカルとテクニック、プロとしての自覚を持ち、精神的にも落ち着いた選手(できれば既婚者)」であり、また攻撃ではロナウジーニョを活かせる存在。そこで前線には、サミュエル・エトー、リュビク・ジュリ、ヘンリク・ラーションが迎え入れられた。
オランダ人選手だけでなく、残留を願い続けたハビエル・サビオラをモナコに売却するなど、冷酷なほどにジョアン・ガスパール政権以前の選手(カンテラ出身選手を除く)を排除し、新たなチーム作りの意思を示したバルサ。しかしシーズン開幕前、その行く末を不安視する声は少なからずあった。
攻撃力はリーガ最強と見られたバルサは、優勝候補の筆頭に挙げられていたものの、中盤以下の選手の大量放出により、守備の弱体化が懸念されたのだ。昨シーズン、レンタル移籍で大活躍したエドガー・ダービッツを残留させられなかったこと、そしてフィリップ・コクーの放出が仇となるのではないか?……。
しかし、いざシーズンが始まると、バルサは危なげなく快調に白星を重ねる。10節までの成績は8勝2分けと、近年にはなかった見事なスタートダッシュを切り、この時点で独走でのリーガ制覇を確信するバルセロニスタも多くいた。
特筆すべきは、序盤戦にチアゴ・モッタ、ガブリ、エジミウソンといった中盤の選手を次々に負傷で欠きながらも、プレーの質を落とすことなく勝ち続けたことだ。ここでは冷静かつ的確な指揮を執ったライカールト監督、そしてCBが本職ながらも中盤の底で安定感抜群のプレーを披露したマルケスが株を上げた。
攻守で文句なしのプレーを見せるバルサのなかで、特に際立ったのがデコの存在である。攻撃ではロナウジーニョをサポートしてその良さを十二分に引き出し、守備では汚れ役を買って出るなど、縦横無尽の活躍でチームのバランスを保ち続けた。
有能な外国人選手とカンテラ出身選手が融合し、アクシデントにも怯むことなく、強い意志を持ってスペクタクルなサッカーを展開し続けたバルサ。宿敵レアル・マドリーの追撃をかわし、最高得点&最少失点でリーガ制覇を果たした。
6シーズンぶりの戴冠。バルセロニスタが長く待ち続けた黄金時代が、いよいよその幕を開けようとしていた。
ロナウジーニョを核としたチーム作りのために必要な戦力を獲得するとともに、長くバルサを染めていた「オランダ色」をほぼ一掃。代わりにベレッチ、シルビーニョ、エジミウソン、デコなど、ブラジル産の逸材が多く到来することとなった。
選手では唯一のオランダ人となったジョバンニ・ファン・ブロンクホルストは、昨シーズンはアーセナルからのレンタルだったが、晴れて完全移籍を果たし、このシーズンも左SBを担うこととなった。
ライカールト監督が望んだのは「優れたフィジカルとテクニック、プロとしての自覚を持ち、精神的にも落ち着いた選手(できれば既婚者)」であり、また攻撃ではロナウジーニョを活かせる存在。そこで前線には、サミュエル・エトー、リュビク・ジュリ、ヘンリク・ラーションが迎え入れられた。
オランダ人選手だけでなく、残留を願い続けたハビエル・サビオラをモナコに売却するなど、冷酷なほどにジョアン・ガスパール政権以前の選手(カンテラ出身選手を除く)を排除し、新たなチーム作りの意思を示したバルサ。しかしシーズン開幕前、その行く末を不安視する声は少なからずあった。
攻撃力はリーガ最強と見られたバルサは、優勝候補の筆頭に挙げられていたものの、中盤以下の選手の大量放出により、守備の弱体化が懸念されたのだ。昨シーズン、レンタル移籍で大活躍したエドガー・ダービッツを残留させられなかったこと、そしてフィリップ・コクーの放出が仇となるのではないか?……。
しかし、いざシーズンが始まると、バルサは危なげなく快調に白星を重ねる。10節までの成績は8勝2分けと、近年にはなかった見事なスタートダッシュを切り、この時点で独走でのリーガ制覇を確信するバルセロニスタも多くいた。
特筆すべきは、序盤戦にチアゴ・モッタ、ガブリ、エジミウソンといった中盤の選手を次々に負傷で欠きながらも、プレーの質を落とすことなく勝ち続けたことだ。ここでは冷静かつ的確な指揮を執ったライカールト監督、そしてCBが本職ながらも中盤の底で安定感抜群のプレーを披露したマルケスが株を上げた。
攻守で文句なしのプレーを見せるバルサのなかで、特に際立ったのがデコの存在である。攻撃ではロナウジーニョをサポートしてその良さを十二分に引き出し、守備では汚れ役を買って出るなど、縦横無尽の活躍でチームのバランスを保ち続けた。
有能な外国人選手とカンテラ出身選手が融合し、アクシデントにも怯むことなく、強い意志を持ってスペクタクルなサッカーを展開し続けたバルサ。宿敵レアル・マドリーの追撃をかわし、最高得点&最少失点でリーガ制覇を果たした。
6シーズンぶりの戴冠。バルセロニスタが長く待ち続けた黄金時代が、いよいよその幕を開けようとしていた。

監督:フランク・ライカールト(オランダ)
その他の主なプレーヤー:GK ジョルケラ、ルベン、DF シルビーニョ、ダミア、F・ナバーロ、MF イニエスタ、ジェラール、モッタ、エジミウソン、アルベルティーニ、ガブリ、FW ラーション、M・ロペス、メッシ

歓喜の輪の中心にいるのは、このシーズンにデビューを果たしたリオネル・メッシ。34節のアルバセーテ戦で、ロナウジーニョから浮き球のラストパスを受けた彼は、落ち着いてループシュートで放ち、ファーストゴールを決めた。偉大なる伝説の始まりを告げる、サッカー界にとっても記念の一戦となった。 (C) Getty Images
◎2004-05シーズン成績
リーガ:優勝(25勝9分け4敗・73得点29失点)
国王杯:2回戦敗退(対グラマネット)
チャンピオンズ・リーグ:ラウンド16敗退(対チェルシー)
チーム内得点ランキング(リーガ):エトー(25点)、ジュリ(11点)、ロナウジーニョ(9点)、デコ(7点)、ファン・ブロンクホルスト(4点)、ラーション(3点)、シャビ(3点)、マルケス(3点)、イニエスタ(2点)、ジェラール(2点)、メッシ(1点)、オレゲール(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
DF ベレッチ(←ビジャレアル)
DF シルビーニョ(←セルタ)
DF F・ナバーロ(←アルバセーテ)
MF デコ(←ポルト)
MF エジミウソン(←リヨン)
FW エトー(←マジョルカ)
FW ジュリ(←モナコ)
FW ラーション(←セルティック)
FW メッシ(←ユースから昇格)
冬
MF アルベルティーニ(←アタランタ)
FW マキシ・ロペス(←リーベル・プレート)
◇OUT
夏
GK ルストゥ(→フェネルバフチェ)
DF レイツィハー(→ミドルスブラ)
DF O・ロペス(→ラツィオ)
MF コクー(→PSV)
MF カレスマ(→ポルト)
MF ダービッツ(→ユベントス)
FW クライファート(→ニューカッスル)
FW サビオラ(→モナコ)
FW L・ガルシア(→リバプール)
FW L・エンリケ(→引退)
FW オーフェルマルス(→引退)
リーガ:優勝(25勝9分け4敗・73得点29失点)
国王杯:2回戦敗退(対グラマネット)
チャンピオンズ・リーグ:ラウンド16敗退(対チェルシー)
チーム内得点ランキング(リーガ):エトー(25点)、ジュリ(11点)、ロナウジーニョ(9点)、デコ(7点)、ファン・ブロンクホルスト(4点)、ラーション(3点)、シャビ(3点)、マルケス(3点)、イニエスタ(2点)、ジェラール(2点)、メッシ(1点)、オレゲール(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
DF ベレッチ(←ビジャレアル)
DF シルビーニョ(←セルタ)
DF F・ナバーロ(←アルバセーテ)
MF デコ(←ポルト)
MF エジミウソン(←リヨン)
FW エトー(←マジョルカ)
FW ジュリ(←モナコ)
FW ラーション(←セルティック)
FW メッシ(←ユースから昇格)
冬
MF アルベルティーニ(←アタランタ)
FW マキシ・ロペス(←リーベル・プレート)
◇OUT
夏
GK ルストゥ(→フェネルバフチェ)
DF レイツィハー(→ミドルスブラ)
DF O・ロペス(→ラツィオ)
MF コクー(→PSV)
MF カレスマ(→ポルト)
MF ダービッツ(→ユベントス)
FW クライファート(→ニューカッスル)
FW サビオラ(→モナコ)
FW L・ガルシア(→リバプール)
FW L・エンリケ(→引退)
FW オーフェルマルス(→引退)