１失点目は、カウンターを受けて左サイドからの折り返しをドゥランに簡単に決められた。ボックス内にはセンターバックの板倉と伊藤に加えて、ボランチの鎌田と守田も戻ってきていて人数は揃っていたのに、ボールウォッチャーになってしまい、ドゥランをフリーにしてしまった。

　ドゥランがフリーになっているのを誰も確認していないように見えた。首を振って見ておけば、後ろから来ているのは分かるはずなので、先にパスコースを消しておくとか、ボールが入ってしまったら、最低限、シュートの時に身体を張ってブロックするべきだった。

　全く対応できていなかったのは、周りが見えていない、首を振っていない証拠。マークにつくのは基礎的な部分だし、やられ方が簡単すぎだよ。オーバーヘッドで決められた２失点目は相手が素晴らしかったから、どうしようもないかもしれないけどね。

　選手個人を見ると、途中出場の選手に可能性を感じた。久保は積極的にボールに絡んで、ドリブルでキープしながらパスコースを探してアクセントになっていた。リズムを変えられる選手なので、そこの質をさらに上げていければ、攻撃のバリエーションが出てくると思う。

　また上田は身体能力が高くて素晴らしい。改めてそう思った。ストライカーの資質を持っていて、伸びしろのあるシューターだよ。
 

　今回、招集された21歳のバングーナガンデや半田らに加えて、日本にはアンダーカテゴリーの代表にも欧州組、国内組を含めて若い良い選手がいる。今後、今のレギュラーの座を脅かしていく若手も絶対出てくると思うので、次のワールドカップまでにチームはもっと活性化されるはずだ。

　そういう意味で下からの押し上げにも期待しつつ、まずは来年１月のアジアカップに向けて良いチームになっていってほしいね。

【著者プロフィール】
金田喜稔（かねだ・のぶとし）／1958年２月16日生まれ、65歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車（現・横浜）でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。

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