不正疑惑の調査と組織改革の行方は会長選にも大きな影響が。
一方、この改革案作成が進められたここ4か月の間にも、次々と新たな不正疑惑が浮上。事件に絡んだ関係者の辞任やFIFA倫理委員会による処分が発表になっている。
中でも最大の衝撃は、10月8日に下ったブラッター会長とミシェル・プラティニFIFA副会長の90日間のサッカー活動停止の仮処分だ。両者への容疑は、ブラッター会長からプラティニ副会長へ2百万スイスフラン(約2億4000万円)が、FIFAの資金から不当に支払われたというもの。2人は金銭のやり取りを認めたが、1998年から2002年にかけてブラッター会長がプラティニ氏に依頼したワールドカップ・アドバイザー職に対する正当な支払いだったとして、不正を否定した。
しかし、この件ではスイス司法当局もブラッター会長の調査に乗り出しており、FIFAの対応だけでなく、司法当局の調査の進展も目が離せない状況だ。なお、ブラッター、プラティニ両氏へのFIFAの最終的な処分は、倫理委員会から12月中に発表される予定だ。
さらに倫理委員会は、2018年と2022年のワールドカップ招致に関する不正疑惑調査も実施した。また、これとは別にドイツでは2006年ワールドカップ招致で不正な支払いがあったと地元メディアが報じ、同大会の組織委員長を務めたフランツ・ベッケンバウアー氏とDFB(ドイツ・サッカー連盟)が槍玉に挙がった。DFBのウォルフガング・ニースバッハ会長は疑惑を否定したが、騒動の責任を取って11月下旬に辞任した。次々と発覚する不祥事で、近年のワールドカップ開催決定に疑いの目が向けられている。
不正疑惑の調査と組織改革は、来年2月末に迫ったFIFA会長選とも連動。かねてよりその必要性が指摘されてきた改革は、次期会長選出のキーポイントと見られている。
中でも、UEFA(欧州サッカー連盟)会長も務め、一時は次期会長最有力候補と言われていたプラティニ氏の処遇に注目が集まっている。本人は会長選への意欲が強く、前述した通り、12月中に発表される倫理委員会の最終処分で「シロ」という判断が下れば、選挙レースに復帰すると見られている。
だがここにきて、欧州メディアはプラティニ氏の弁護士が同氏に永久活動停止処分が下る可能性を示唆したと一斉に報道。しかも同様の処分はブラッター会長にも及ぶとされており、予断を許さない状況だ。
欧州各国はプラティニ氏が出馬不可能になった際の保険として、ジャンニ・インファンティーノUEFA事務局長を擁立。会長選立候補は10月下旬に締め切られ、インファンティーノ氏のほか、元FIFA副事務総長のジェローム・シャンパーニュ氏、AFC(アジアサッカー連盟)会長のシーク・サルマン氏、ヨルダンサッカー協会会長でFIFA副会長のアリ・フセイン王子、南アフリカの反アパルトヘイト活動家で政治家のトーキョー・セクワレイ氏の5人の出馬が承認された。
アジアと欧州から2人が立候補し、各国協会・連盟がどちらを推すかが大きなポイントになる。AFCは11月末の総会でシーク・サルマン氏支援を決定したが、投票まであと約3か月もある。何があるか分からないのが、サッカー界の選挙である。構造改革も会長選も、しばらく目が離せない状況が続きそうだ。
文:木ノ原句望(スポーツジャーナリスト)
中でも最大の衝撃は、10月8日に下ったブラッター会長とミシェル・プラティニFIFA副会長の90日間のサッカー活動停止の仮処分だ。両者への容疑は、ブラッター会長からプラティニ副会長へ2百万スイスフラン(約2億4000万円)が、FIFAの資金から不当に支払われたというもの。2人は金銭のやり取りを認めたが、1998年から2002年にかけてブラッター会長がプラティニ氏に依頼したワールドカップ・アドバイザー職に対する正当な支払いだったとして、不正を否定した。
しかし、この件ではスイス司法当局もブラッター会長の調査に乗り出しており、FIFAの対応だけでなく、司法当局の調査の進展も目が離せない状況だ。なお、ブラッター、プラティニ両氏へのFIFAの最終的な処分は、倫理委員会から12月中に発表される予定だ。
さらに倫理委員会は、2018年と2022年のワールドカップ招致に関する不正疑惑調査も実施した。また、これとは別にドイツでは2006年ワールドカップ招致で不正な支払いがあったと地元メディアが報じ、同大会の組織委員長を務めたフランツ・ベッケンバウアー氏とDFB(ドイツ・サッカー連盟)が槍玉に挙がった。DFBのウォルフガング・ニースバッハ会長は疑惑を否定したが、騒動の責任を取って11月下旬に辞任した。次々と発覚する不祥事で、近年のワールドカップ開催決定に疑いの目が向けられている。
不正疑惑の調査と組織改革は、来年2月末に迫ったFIFA会長選とも連動。かねてよりその必要性が指摘されてきた改革は、次期会長選出のキーポイントと見られている。
中でも、UEFA(欧州サッカー連盟)会長も務め、一時は次期会長最有力候補と言われていたプラティニ氏の処遇に注目が集まっている。本人は会長選への意欲が強く、前述した通り、12月中に発表される倫理委員会の最終処分で「シロ」という判断が下れば、選挙レースに復帰すると見られている。
だがここにきて、欧州メディアはプラティニ氏の弁護士が同氏に永久活動停止処分が下る可能性を示唆したと一斉に報道。しかも同様の処分はブラッター会長にも及ぶとされており、予断を許さない状況だ。
欧州各国はプラティニ氏が出馬不可能になった際の保険として、ジャンニ・インファンティーノUEFA事務局長を擁立。会長選立候補は10月下旬に締め切られ、インファンティーノ氏のほか、元FIFA副事務総長のジェローム・シャンパーニュ氏、AFC(アジアサッカー連盟)会長のシーク・サルマン氏、ヨルダンサッカー協会会長でFIFA副会長のアリ・フセイン王子、南アフリカの反アパルトヘイト活動家で政治家のトーキョー・セクワレイ氏の5人の出馬が承認された。
アジアと欧州から2人が立候補し、各国協会・連盟がどちらを推すかが大きなポイントになる。AFCは11月末の総会でシーク・サルマン氏支援を決定したが、投票まであと約3か月もある。何があるか分からないのが、サッカー界の選挙である。構造改革も会長選も、しばらく目が離せない状況が続きそうだ。
文:木ノ原句望(スポーツジャーナリスト)