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【プレミア現地コラム】リバプールは“フォース”と共にある。クロップ監督が手がける「新作」の完成が待ち遠しい

カテゴリ:連載・コラム

山中忍

2015年11月26日

70分以降はスターリングへのブーイングが止んでいた。

4-1で大勝を飾ったマンチェスター・シティ戦でダメを押したのが、CBのシュクルテルだ。CKのチャンスから豪快なボレーで突き刺した。 (C)Getty Images

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 コウチーニョ以外にも、「60分しかもたない」と言われていたアダム・ララーナが、この日もほぼフルタイムをこなし、「テクニックのあるカイト」と呼ばれはじめている。3年前まで在籍した本家のディルク・カイトは、スタミナが持ち味のアタッカーだった。
 
 中盤中央では、ルーカス・レイバが対峙するトゥーレ・ヤヤに対して思い切り良く距離を詰めてビルドアップを阻止。ルーカスのプレーが「素早い」と評された試合など、過去にほとんど記憶がない。
 
 クロップ自身は「まだまだ改善が必要」と慎重だ。たしかに前節は、格下のクリスタル・パレスに不覚を取り(1-2)、試合終了を待たずにホームの観衆に席を立たれたばかり。
 
 指揮官は「一瞬たりとも見逃したくないと思わせる戦いを」と選手に言い聞かせているようで、その言葉通りマンチェスター・C戦で見せた戦闘姿勢を維持できれば、観衆の目は終始釘付けになるだろう。
 
 事実、当日のファンは70分あたりでラヒーム・スターリングへのブーイングを止めていた。
 
 今夏にスターリングが抜けたリバプールは、「トップ4を争うには戦力不足」と指摘されるようになっていた。みずから退団を熱望し、マンチェスター・Cに渡った元同志への八つ当たりを忘れるほど、サポーターはすっかり自軍に魅了されていたのだ。
 
 しかもマンチェスター・C戦のリバプールは、昨シーズン途中から怪我で長期離脱し、先頃復帰したばかりのFWダニエル・スターリッジを、ベンチに置いたままだった。
 
 故障者が完全に復活し、しかもクロップが獲得を希望する何人かのタレントが加わったチーム、すなわち新体制下における「最強メンバー」を“公開”できるのは、年明けの1月か来夏。もう少し先だ。
 
 マンチェスターでの「予告編」の出来があまりに良かっただけに、クロップの手による「リバプール新作」の完成を心待ちにせずにはいられない。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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