【セリエA現地コラム】放出要員から牽引役へ。ローマ躍進を担う「爆速」ジェルビーニョ

カテゴリ:連載・コラム

片野道郎

2015年11月11日

大胆な路線変更がプラスに働いた。

ル・マンとリールでも師弟関係にあったジェルビーニョ(右)とガルシア監督(左)。時に「えこひいき」と指摘されるほど、厚い信頼で結ばれている。(C)Getty Images

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 決定力のアップ以上に注目したいのが、昨シーズンまではまったくと言っていいほど見られなかった、守備における貢献だ。
 
 守りの局面でのジェルビーニョの「不在」ぶりは、チーム内でも以前から槍玉に挙がっており、それも放出要員にされた理由のひとつだと言われてきた。
 
 だが、首位攻防戦となったフィオレンティーナ戦(9節)やインテル戦(11節)では、自陣深くまで戻って中盤のラインに加わり、敵を追い回していた。
 
 この見違えるような献身ぶりの背景に、指揮官による説得があったことは容易に想像がつく。ジェルビーニョやサラーという単独プレーに走りがちなエゴイスティックな選手に持ち味を発揮させながら、守備意識も植え付けたことで、それまで「ガルシア叩き」を続けてきたマスコミも、手の平を返したように指揮官の手腕を評価し始めている。
 
 そのガルシア監督は、序盤戦の不安定な戦いぶりもあって、ここ1か月ほどは開幕当初のポゼッション&ハイプレス志向のスタイルを封印。自陣の低めの位置にコンパクトな守備ブロックを構築して、カウンターを狙うという戦術にシフトしている。
 
 この大胆な路線変更が、オープンスペースでのロングスプリントで絶対的な違いを作り出すジェルビーニョ、そしてサラーにとって、プラスに働いているのは明らかだ。
 
 11月24日には、チャンピオンズ・リーグでバルセロナとの大一番が待っている。ダービーで右足首を負傷したサラーは欠場が濃厚だが、ジェルビーニョが「爆速カウンター」でバルサ守備陣をきりきり舞いさせる場面を作れるか。見応えのある攻防が期待できそうだ。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
片野道郎/1962年生まれ、仙台市出身。95年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させる。『ワールドサッカーダイジェスト』では、現役監督のロベルト・ロッシ氏とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博している。
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