いっそのこと、ミランで悶々とする本田をベンチに置いても…。
あらためてポジションごとに見れば、GKは変わらぬ3人が選ばれると予想される。浪人生活が続き、このところ代表から遠ざかる川島はスコットランドのダンディー・Uへの移籍が決まりそうだが、今の時期に無理をさせるとは考えにくい。クラブとの交渉が大詰めを迎えているのであれば、なおさら“就職”に集中するのが選手にとっても得策だ。
CBでは吉田、槙野、森重が順当に名前を呼ばれるはずで、残る1枠の争いが焦点。候補はG大阪の丹羽、神戸の岩波、鹿島の昌子あたりが。ただし、最終ラインでなにより期待されるのは、新たなSBの台頭だ。
本来の実力や実績で見れば長友、内田がファーストチョイスだが、前者はパフォーマンスが落ち着かず(インテルでは少ないながら出番を得つつあるが……)、後者はリハビリ中。控えの有力候補と目される“ダブル酒井”や米倉も地位を固められていない。
確かに、これまでのアジア2次予選を通じて失点ゼロと守備面に大きな問題はないが、SBのクロス精度をはじめとした攻撃面は明らかに物足りない。SBに後方からのつなぎを求めるか、クロスを求めるか、あるいはその両方なのか。指揮官はメンバー発表のたびに選考基準のニュアンスを変えており、いまだ方向性がはっきりしないものの、Jリーグでアシストを量産するFC東京の太田を筆頭に攻撃的な“異分子”のプレーにも期待したい。
長谷部と山口が鉄板のボランチは、鹿島の柴崎とU-22代表の遠藤が対抗馬となるか。後者は現在の日本代表ではSBとして捉えられているものの、将来性を踏まえれば本職で試しておきたい人材だ。
本田や香川、長谷部をはじめ、多くの欧州組が名を連ねる2列目は、文字通りの最激戦区だ。宇佐美や原口ら、サブに定着した実力者も控えており、たとえ新たなチャレンジャーが選ばれたとしても、出番を与えられるかは未知数となる。
逆に言えば、いっそのことミランで悶々とする本田をベンチに置き、それ以外の常連でどんなサッカーができるのかテストするのも一興だ。無論チームカラーはガラリと変わるが、これまで出場時間があまり与えられていない実力者に成長と自覚を促すためにも、試す価値は十分にある。そんな一種のギャンブルでも、ある程度勝ち目の広がる相手がシンガポールとカンボジアであるとも言える。
なかでも主役を担うべきは、ハノーファーの大黒柱として君臨する清武。心配された右足の怪我は軽度の打撲で、代表活動には支障がないようだ。飛躍が待たれるロンドン世代の旗手がトップ下に入り、香川は左サイドから自由に攻撃を仕掛ける――。もしくは、ポリバレントでもある清武がサイドに回り、背番号10の隣で輝きを放つ――。そんな青写真も描けるはずだ。
CFはイングランドで研鑽を積む岡崎、10月31日のアウクスブルク戦でハットトリックを達成した武藤のふたり。殻を破りつつある俊英が、マインツの先輩にあたる岡崎にどこまで肉薄できるか。さらなる覚醒を促すために、スタメン起用も考慮したい。
もっとも、最前線はテストがしやすいセクションである。アウェーのピッチコンディションは悪く、ロングボールが有効手段となりそうであれば、レターが行ったとの噂もあるハーフナーは違いを生む存在となるかもしれない。オランダで好調を維持し、高さは他の選手はない武器。万が一終盤までゴールが奪えずにパワープレーが必要な場合には、194センチのハイタワーが利いてくる。
文●増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)
CBでは吉田、槙野、森重が順当に名前を呼ばれるはずで、残る1枠の争いが焦点。候補はG大阪の丹羽、神戸の岩波、鹿島の昌子あたりが。ただし、最終ラインでなにより期待されるのは、新たなSBの台頭だ。
本来の実力や実績で見れば長友、内田がファーストチョイスだが、前者はパフォーマンスが落ち着かず(インテルでは少ないながら出番を得つつあるが……)、後者はリハビリ中。控えの有力候補と目される“ダブル酒井”や米倉も地位を固められていない。
確かに、これまでのアジア2次予選を通じて失点ゼロと守備面に大きな問題はないが、SBのクロス精度をはじめとした攻撃面は明らかに物足りない。SBに後方からのつなぎを求めるか、クロスを求めるか、あるいはその両方なのか。指揮官はメンバー発表のたびに選考基準のニュアンスを変えており、いまだ方向性がはっきりしないものの、Jリーグでアシストを量産するFC東京の太田を筆頭に攻撃的な“異分子”のプレーにも期待したい。
長谷部と山口が鉄板のボランチは、鹿島の柴崎とU-22代表の遠藤が対抗馬となるか。後者は現在の日本代表ではSBとして捉えられているものの、将来性を踏まえれば本職で試しておきたい人材だ。
本田や香川、長谷部をはじめ、多くの欧州組が名を連ねる2列目は、文字通りの最激戦区だ。宇佐美や原口ら、サブに定着した実力者も控えており、たとえ新たなチャレンジャーが選ばれたとしても、出番を与えられるかは未知数となる。
逆に言えば、いっそのことミランで悶々とする本田をベンチに置き、それ以外の常連でどんなサッカーができるのかテストするのも一興だ。無論チームカラーはガラリと変わるが、これまで出場時間があまり与えられていない実力者に成長と自覚を促すためにも、試す価値は十分にある。そんな一種のギャンブルでも、ある程度勝ち目の広がる相手がシンガポールとカンボジアであるとも言える。
なかでも主役を担うべきは、ハノーファーの大黒柱として君臨する清武。心配された右足の怪我は軽度の打撲で、代表活動には支障がないようだ。飛躍が待たれるロンドン世代の旗手がトップ下に入り、香川は左サイドから自由に攻撃を仕掛ける――。もしくは、ポリバレントでもある清武がサイドに回り、背番号10の隣で輝きを放つ――。そんな青写真も描けるはずだ。
CFはイングランドで研鑽を積む岡崎、10月31日のアウクスブルク戦でハットトリックを達成した武藤のふたり。殻を破りつつある俊英が、マインツの先輩にあたる岡崎にどこまで肉薄できるか。さらなる覚醒を促すために、スタメン起用も考慮したい。
もっとも、最前線はテストがしやすいセクションである。アウェーのピッチコンディションは悪く、ロングボールが有効手段となりそうであれば、レターが行ったとの噂もあるハーフナーは違いを生む存在となるかもしれない。オランダで好調を維持し、高さは他の選手はない武器。万が一終盤までゴールが奪えずにパワープレーが必要な場合には、194センチのハイタワーが利いてくる。
文●増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)