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【功罪検証】森保一と日本サッカーの未来。重要なのは、何を武器に、どう戦っていくのかを明示する哲学だ

カテゴリ:日本代表

加部 究

2022年12月09日

2度の逆転劇は「奇跡」とは言わないまでも再現性は乏しい

日本はW杯での結果に重きを置き、代表監督を代えて来た。だが強化の道筋では哲学が右往左往して来た印象は否めない。写真:鈴木颯太朗

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 しかし反面、2試合ともにポゼッション率は20%台で、伝統的に自慢の攻撃的MFや、今回の切り札だった伊東純也や三笘薫が輝く場所と時間は限定された。結果を導き出すために我慢を強いる采配だったが、もし少ないチャンスをゴールに繋げる効率性を引き出せなければ得るものは少なかった。

 今までの日本サッカー史を振り返れば、いくつかの語り継がれて来た「奇跡」がある。旧くは1936年に優勝候補のスウェーデンを下したベルリン五輪、1964年東京五輪ではアルゼンチンを逆転で下し、1996年アトランタ五輪ではドリームチームと言われたブラジルを破った。

 しかし「奇跡」が劇的に進化を促すことはなかった。カタールW杯も、2度繰り返された逆転劇を「奇跡」とは言わないまでも、やはり再現性は乏しい。森保監督は「良い守備から良い攻撃へ」と繰り返し、大会2か月前のアメリカとの親善試合では予兆も見せたが、本番で顔を合わせる優勝経験国に同じ戦い方は通用しなかった。

 最終的に森保監督は策士としての有能ぶりを発揮して世界中の予想を覆したわけだが、一方でどんな相手に対しても確固たる哲学を貫き通す監督もいる。

 過去にアルベルト・ザッケローニ監督時代には「自分たちのサッカー」にこだわり、対戦相手に即した対応力不足の声が高まったが、例えば現在のJ1を見れば川崎や横浜は独自のスタイルで二強時代を築きつつあり、J2でも新潟や熊本がコンセプトを徹底して進化を遂げた。
 
 これまでJFAは4年に1度の祭典での結果に最も重きを置き、その度に代表監督を代えて来た。だが強化の道筋を顧みれば、哲学そのものが微妙に右往左往して来た印象は否めない。

 日本にとってラウンド16の壁は悪夢のように立ちはだかっているが、ベスト4、さらには優勝を目ざすとなると別世界並みの環境整備や革命が要る。

 優勝経験を持つ8か国の中では、イタリアだけが比較的守備の美学を基盤として来たが、それでもタイトルを奪取した大会は攻撃にも卓越したタレントを揃え、カウンターの精度や頻度が突き抜けていた。

 フランスは1980年台からMFの創造性を武器にベスト4以上に5度も到達して来たし、スペインの開花がハイテンポのボール回しを意味するティキタカを原点とするのは周知の通り。トータルフットボールという一大革命を起こしたオランダでも、ベスト4に5度も到達しながら3度も決勝戦で跳ね返されている。

 今ではポゼッションで劣勢のチームが勝利するケースも少なくないが、世界一を獲ろうとするならいずれは相手よりボールを保持する術を極めていかなければならないし、それは日本人の体格的な特質を考えれば尚更だ。

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