【リーガ現地コラム】序盤戦のビッグサプライズ。エイバル躍進の3つの要因

カテゴリ:連載・コラム

豊福晋

2015年10月22日

全力ファイトを好むいかにもバスクらしいチーム。

選手全員のハードワークを惜しまないチームにあって、とりわけ眩い輝きを放つのがCFのB・バストン(右端)。4戦連発と好調を維持し、力強く前線を牽引する。(C)Getty Images

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■ポイント2
ボルハ・バストンの好調


 主役をひとり挙げるなら、4試合連続得点中のCFボルハ・バストンになる。開幕当初はセルジ・エンリチュの控えだったが、途中出場で結果を出し、いまでは完全にエースの座に君臨。柔軟な足技とシュート技術の高さ、淡々とボールをさばく冷静さを武器にネットを揺らしている。今シーズンのサプライズにも挙がるひとりで、ノリート(セルタ)とともにメディアで騒がれる、23歳を迎えたばかりのこの若者は、将来のスペイン代表入りも囁かれる。

 ボールを奪うや、アドリアンを起点にサイドのS・ベルホン、乾を経由し、最後は中央のB・バストンに合わせてフィニッシュ。これが今シーズンの攻撃パターンで、現段階ではチームの得点の大部分を彼に頼っている。この勢いが今後どこまで続くか、注目だ。


■ポイント3
リーガ最少のピッチ幅


 意外な要素が、本拠地イプルーアの極端なピッチ幅の狭さだ。ホームではアトレティコ・マドリーにこそ敗れた(0-2)ものの、首位のセルタや格上セビージャを苦しめている(いずれも1-1)。イプルーアのピッチの横幅は、ラージョ・バジェカーノのバジェカスと並び、現在リーガでもっとも狭い65メートル。FIFA推奨の68メートル(サンチャゴ・ベルナベウ、カンプ・ノウなど)と比較すると3メートルも狭い。この点は今シーズン、実際にピッチに立った相手選手の多くが「やりにくい」と指摘しており、大きなホームアドバンテージになっている。

 サイドを広く使って攻めるチームは窮屈な展開を強いられ、縦へと崩し切れずに中央に戻す。そんなシーンが多く見られる。観客とピッチの距離が2~3メートルほどしかなく声援がダイレクトに伝わる、いわゆるマッチ箱型のこの英国式スタジアムは、バジェカスとともに今シーズンのリーガでもっとも嫌がられている会場だ。

「8試合で勝ち点13。最高だ。このまま最後まで突っ走りたい」と語るのはホセ・ルイス・メンディリバル監督。消耗を計算しないサッカーだけに、全力でぶつかるこのエイバル・スタイルがいつまで持つのかはわからない。後先を考えずに全力ファイトを好むいかにもバスクらしいチームである。


文:豊福晋
 
【著者プロフィール】
豊福晋
1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
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