7人の選手がプレーしたが、満足のいく結果を残したのは…。

ボーフム、フランクフルトと、計4シーズンを過ごしたドイツでの経験は、スペインでどのように活かされるだろうか。 (C) Getty Images

欧州でも確固たる実績を残した中村俊輔だったが、スペインでは求められるプレースタイル、足の怪我などに悩まされ、1シーズンを過ごすことなく日本へ帰っていった。 (C) Getty Images
乾貴士がフランクフルトからリーガ・エスパニョーラのエイバルへ移籍を果たしたことが、8月26日に発表された。
今シーズン、欧州の主要4リーグ(スペイン、ドイツ、イングランド、イタリア)では唯一、日本人が不在だったリーガに移籍したということで、今後はエイバルの試合にも多くの注目が集まることだろう。ちなみに開幕戦では、敵地でグラナダを3-1で下している。
◎現在スペインでプレーする選手
※3部リーグ(セグンダB)以上のトップチームでプレーする選手を掲載
◇乾 貴士
エイバル(1部)
新加入
◇長谷川アーリアジャスール
サラゴサ(2部)
新加入
◇杉田祐希也
エルクレス(3部)
2013-14 2部 16試合2得点
2014-15 3部 13試合0得点(プレーオフ1試合含む)
「ずっとスペインでプレーしたいと思っていた」と語り、新天地での活躍を誓った乾。クラブ側も、トップ下、ウイング、前線でプレーできる乾に高い期待をかけている。
地元メディアも日本人選手獲得には注目しているが、乾の実力を評価する一方で、リーガという特殊な環境での経験のなさを懸念する声も少なくなる。そしてもうひとつ、スペインでの日本人選手の成功例が少ないことを、不安材料に挙げる意見もある。
過去、リーガ、すなわちスペインの1部リーグでプレーした経験を持つ日本人選手は7人だが、いずれも所属クラブや地元ファンを満足させたとは言い難いのは確かである。
歴史の扉を開いたのは、1999年の城彰二。日本を代表するFWだった彼は、レンタルで横浜F・マリノスからバジャドリーに加入した。2トップの一角としてゴールも挙げ(通算2得点)、ポストプレーヤーとしてもチームから評価されたが、怪我で長期欠場したために残留は叶わず、1年でのJ復帰を余儀なくされた。
ちなみにそれ以前の1996年には、各年代の代表チームでエースとして君臨し、留学したラツィオのユースチームでも高い評価を得た財前宣之が、ログロニェスでリーガデビュー目前とされたが、靭帯断裂というアクシデントに見舞われ、無念の帰国を果たしている。
城の挑戦の翌年には西澤明訓がセレッソ大阪からエスパニョールに移籍するも、厚く高い壁に阻まれて無得点。試合出場すらままならないまま、6試合0得点という結果だけを残してスペインを去った。
このふたりに比べると、2004年にマジョルカに加入した大久保嘉人は、1ゴール1アシストというド派手なデビューを飾って大いに期待を持たせた。前線で決定的な仕事を見せ、1年目にはチームの1部リーグ残留に貢献するなど存在感を示したが、いかんせん安定感がなく、レンタル移籍は2年間で終了となった。
この大久保以上に、加入時に期待を集めたのは、日本代表するMFの中村俊輔だ。セルティックで数々の伝説を創り上げた男が、スペインでの挑戦に臨んだが、残念ながらリーガ、そしてエスパニョールのサッカーには適応できず、シーズン途中の2012年2月に古巣・横浜への帰還を決意した。
中村のリーガ離脱の1か月前、指宿洋史がセビージャでデビューを飾った。ベティスとのダービーマッチという重要な一戦での途中出場だった。結局、この1試合のみに終わったものの、Bチームで20得点を挙げて得点ランキング2位につけるなど、下部リーグでは十分すぎる結果を残している。
2010年にマジョルカへ完全移籍した家長昭博は、1年目こそ評価を得られる結果を残したものの、2年目はチームの戦力構想から外れて韓国Kリーグへレンタル移籍に出され、1年半ぶりにマジョルカに戻ってからも、7試合の出場に止まった。
そして昨シーズン、1部リーグに昇格したコルドバにハーフナー・マイクが加入。長身を活かした1トップとして期待されるも、監督交代などによって戦力外となり、年を越すことなく退団することとなった。
こうした前例とは異なる、誰もが納得する活躍を乾は見せることができるか。リーガでも最も規模の小さいクラブとして困難は少なくないだろうが、憧れの地で新たなキャリアの一歩を刻もうとする今の乾には、それも大した問題ではないのだろう。
◎過去にスペインでプレーした選手
※3部リーグ(セグンダB)以上のトップチームでプレーした選手を掲載
◇財前宣之
ログロニェス
1996-97 1部 0試合0得点
◇安永聡太郎
レリダ
1997-98 2部 34試合4得点
ラシン・デ・フェロール
2002-03 2部 12試合1得点
◇城彰二
バジャドリー
1999-00 1部 15試合2得点
◇深澤仁博
テネリフェ
1999-00 2部 0試合0得点
◇西澤明訓
エスパニョール
2000-01 1部 6試合0得点
◇大久保嘉人
マジョルカ
2004-05 1部 13試合3得点
2005-06 1部 26試合2得点
◇福田健二
カステジョン
2005-06 2部 17試合2得点
ヌマンシア
2006-07 2部 39試合10得点
ラス・パルマス
2007-08 2部 15試合3得点
◇指宿洋史
ジローナ
2008-09 2部 6試合0得点
2009-10 2部 0試合0得点
サラゴサB
2009-10 4部 27試合12得点
サバデル
2010-11 3部 33試合10得点
セビージャB
2011-12 3部 32試合20得点
セビージャ
2011-12 1部 1試合0得点
バレンシアB
2013-14 3部 34試合7得点
◇中村俊輔
エスパニョール
2009-10 1部 13試合0得点
◇家長昭博
マジョルカ
2010-11 1部 14試合2得点
2011-12 1部 4試合0得点
2013-14 2部 7試合0得点
◇田邉草民
サバデル
2013-14 2部 29試合4得点
2014-15 2部 35試合1得点
◇ハーフナー・マイク
コルドバ
2014-15 1部 5試合0得点
今シーズン、欧州の主要4リーグ(スペイン、ドイツ、イングランド、イタリア)では唯一、日本人が不在だったリーガに移籍したということで、今後はエイバルの試合にも多くの注目が集まることだろう。ちなみに開幕戦では、敵地でグラナダを3-1で下している。
◎現在スペインでプレーする選手
※3部リーグ(セグンダB)以上のトップチームでプレーする選手を掲載
◇乾 貴士
エイバル(1部)
新加入
◇長谷川アーリアジャスール
サラゴサ(2部)
新加入
◇杉田祐希也
エルクレス(3部)
2013-14 2部 16試合2得点
2014-15 3部 13試合0得点(プレーオフ1試合含む)
「ずっとスペインでプレーしたいと思っていた」と語り、新天地での活躍を誓った乾。クラブ側も、トップ下、ウイング、前線でプレーできる乾に高い期待をかけている。
地元メディアも日本人選手獲得には注目しているが、乾の実力を評価する一方で、リーガという特殊な環境での経験のなさを懸念する声も少なくなる。そしてもうひとつ、スペインでの日本人選手の成功例が少ないことを、不安材料に挙げる意見もある。
過去、リーガ、すなわちスペインの1部リーグでプレーした経験を持つ日本人選手は7人だが、いずれも所属クラブや地元ファンを満足させたとは言い難いのは確かである。
歴史の扉を開いたのは、1999年の城彰二。日本を代表するFWだった彼は、レンタルで横浜F・マリノスからバジャドリーに加入した。2トップの一角としてゴールも挙げ(通算2得点)、ポストプレーヤーとしてもチームから評価されたが、怪我で長期欠場したために残留は叶わず、1年でのJ復帰を余儀なくされた。
ちなみにそれ以前の1996年には、各年代の代表チームでエースとして君臨し、留学したラツィオのユースチームでも高い評価を得た財前宣之が、ログロニェスでリーガデビュー目前とされたが、靭帯断裂というアクシデントに見舞われ、無念の帰国を果たしている。
城の挑戦の翌年には西澤明訓がセレッソ大阪からエスパニョールに移籍するも、厚く高い壁に阻まれて無得点。試合出場すらままならないまま、6試合0得点という結果だけを残してスペインを去った。
このふたりに比べると、2004年にマジョルカに加入した大久保嘉人は、1ゴール1アシストというド派手なデビューを飾って大いに期待を持たせた。前線で決定的な仕事を見せ、1年目にはチームの1部リーグ残留に貢献するなど存在感を示したが、いかんせん安定感がなく、レンタル移籍は2年間で終了となった。
この大久保以上に、加入時に期待を集めたのは、日本代表するMFの中村俊輔だ。セルティックで数々の伝説を創り上げた男が、スペインでの挑戦に臨んだが、残念ながらリーガ、そしてエスパニョールのサッカーには適応できず、シーズン途中の2012年2月に古巣・横浜への帰還を決意した。
中村のリーガ離脱の1か月前、指宿洋史がセビージャでデビューを飾った。ベティスとのダービーマッチという重要な一戦での途中出場だった。結局、この1試合のみに終わったものの、Bチームで20得点を挙げて得点ランキング2位につけるなど、下部リーグでは十分すぎる結果を残している。
2010年にマジョルカへ完全移籍した家長昭博は、1年目こそ評価を得られる結果を残したものの、2年目はチームの戦力構想から外れて韓国Kリーグへレンタル移籍に出され、1年半ぶりにマジョルカに戻ってからも、7試合の出場に止まった。
そして昨シーズン、1部リーグに昇格したコルドバにハーフナー・マイクが加入。長身を活かした1トップとして期待されるも、監督交代などによって戦力外となり、年を越すことなく退団することとなった。
こうした前例とは異なる、誰もが納得する活躍を乾は見せることができるか。リーガでも最も規模の小さいクラブとして困難は少なくないだろうが、憧れの地で新たなキャリアの一歩を刻もうとする今の乾には、それも大した問題ではないのだろう。
◎過去にスペインでプレーした選手
※3部リーグ(セグンダB)以上のトップチームでプレーした選手を掲載
◇財前宣之
ログロニェス
1996-97 1部 0試合0得点
◇安永聡太郎
レリダ
1997-98 2部 34試合4得点
ラシン・デ・フェロール
2002-03 2部 12試合1得点
◇城彰二
バジャドリー
1999-00 1部 15試合2得点
◇深澤仁博
テネリフェ
1999-00 2部 0試合0得点
◇西澤明訓
エスパニョール
2000-01 1部 6試合0得点
◇大久保嘉人
マジョルカ
2004-05 1部 13試合3得点
2005-06 1部 26試合2得点
◇福田健二
カステジョン
2005-06 2部 17試合2得点
ヌマンシア
2006-07 2部 39試合10得点
ラス・パルマス
2007-08 2部 15試合3得点
◇指宿洋史
ジローナ
2008-09 2部 6試合0得点
2009-10 2部 0試合0得点
サラゴサB
2009-10 4部 27試合12得点
サバデル
2010-11 3部 33試合10得点
セビージャB
2011-12 3部 32試合20得点
セビージャ
2011-12 1部 1試合0得点
バレンシアB
2013-14 3部 34試合7得点
◇中村俊輔
エスパニョール
2009-10 1部 13試合0得点
◇家長昭博
マジョルカ
2010-11 1部 14試合2得点
2011-12 1部 4試合0得点
2013-14 2部 7試合0得点
◇田邉草民
サバデル
2013-14 2部 29試合4得点
2014-15 2部 35試合1得点
◇ハーフナー・マイク
コルドバ
2014-15 1部 5試合0得点