渋谷監督は、選手たちに自信を持たせるメッセージを度々発信しており、経験豊富な遠藤保仁や大津祐樹、怪我から復帰した山田大記などの存在もあり、メンタル的には前向きなものを感じさせる。だがしかし、鈴木雄斗と並び、６ゴールでチーム得点王のFWファビアン・ゴンザレスに、タイのクラブとの二重契約の疑いが発覚。FIFAの紛争解決室（DRC）の裁定を不服として、磐田はスポーツ仲裁裁判所（CAS）に上訴している状況だ。

　この裁定がいつどう下るかが不明だが、少なくともチーム最強の得点源をダービーでも使えないと見られるなかで、ベンチメンバーを含め、アタッカーの選手層は清水を下回る。

　そのなかで、泣いても笑っても残り３試合というところで、杉本やジャーメイン良、大津などアタッカー陣が奮起できるか。シャドーでの起用が予想される金子翔太、そして夏に加入した左サイドの松原后にとっては古巣対戦となるが、松原は「ダービーとか関係なく、残留のために全力で戦いたい」と語っている。
 

　特に松原は、前半戦の磐田になかったオプションで、左サイドから縦に切り裂いて、鋭いクロスに持ち込める。横浜戦で古川のゴールをお膳立てしたのも松原だった。加入した直後はコンディションが整わず、あまりチームに貢献できなかったという松原だが、勝利の鍵を握る１人だろう。また横浜戦のゴールで殻を破った古川にも期待だ。

　ただ、清水は昨シーズンも終盤まで残留争いを経験しており、IAIスタジアム日本平ではサポーターの強力な後押しもある。勝利した場合は、花火が打ち上がるとの情報も聞くが、磐田としては勝利の花火を打ち上げさせず、歓喜の勝利を持ち帰り、残る２つの“６ポイントマッチ”に望みをつなげたい。

取材・文●河治良幸

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