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「選手たちにも役を演じさせるではないが…」若きなでしこを躍動させた池田太監督の手腕「人々の心を掴むことができた」

カテゴリ:女子サッカー

渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

2022年10月18日

「スタジアムの人々の心を掴むことができ、あの“ハポン‼”という声や拍手も聞けました」

準優勝に終わったが、選手たちの表情からは充実感がにじみ出ていた。(C)GettyImages

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 実際のトレーニングでも多くの工夫が施されていた。

「リカバーリートレーニングも良いリフレッシュになるように、フットゴルフや、ゴムボールでキャッチボールするアトラクションをたくさん設けたり。身体を動かしながらも、気分転換して息抜きする場面をコーチ陣が作ってくれました」

 前回のフランス大会では、相手ディフェンスとGKの間に送る低弾道のクロスを「なでクロ」とネーミングし、チームの共通言語にすることで意識の共有を図った。

「似たようなのはもちろんあります。多分このあともなでしこで普通に使っていくと思います。選手が分かりやすいように、理解しやすいように、工夫はしていきたいですね。だからいろいろとあるけれど、まだここでは教えられません。選手たちも大会中にインタビューなどでそんな話を言いたそうにしていましたが、我慢してくれたようです」

 かん口令を敷くわけではないが、選手たちにピッチ外でもワールドカップの戦いが始まっていることをそれとなく伝えていた。

「内緒にするというだけでもワールドカップの緊張感が生まれるじゃないですか。トレーニングが終わったらすぐにビブスを脱いで誰がスタメンなのか分からないようにするとか。他国のメディアの前ではアイシングしている姿を見せないようにするとか。選手たちにも役を演じさせるではないですが、普段とは違う真剣勝負の場なんだと意識をつけさせるようにしていました」

 そんな積み重ねがU-20なでしこたちの自信となり、続くガーナ戦(〇2-0)、アメリカ戦(〇3-1)と勢いを加速させた。
 
 決勝トーナメント1回戦で対峙したのはフランス。先制を許すも、前半のうちに追いつき後半頭には逆転に成功。しかし終盤に追いつかれ、延長戦後半で再びリードを許してしまう。それでも、終了間際の藤野あおばの得点でPK戦に持ち込むと、PK戦を5-3で制し4強へ。

 待ち受けていたのはサッカー王国ブラジル。1-1で迎えた84分に山本のパスに浜野まいかが反応。会場の時が一瞬止まったかのような見事なループショットが決まり、2大会連続で決勝の舞台にたどり着いた。

「今回はどの試合もきつかったですね。もちろん延長になったフランス戦もそうでしたし、ブラジルも力がありました。ファイナルはファイナルで、プレッシャーもあっただろうし、1番はどれだろう?」。そんな悩みが生まれるほどの激戦だった。

 決勝ではスペインに前半のうちに3点を奪われ、結果は1-3で敗れたものの、大会を最後まで戦い抜いたことで得られたものも大きかったという。

「本当に関係者の皆様に感謝申し上げます。パンデミックの影響でなかなか活動が思うようにできなかったなかでも、世界と戦い選手たちは努力し、成長してくれた。一番高いところの景色は見せられなかったけれど、フェアプレーの精神で、スタジアムの人々の心を掴むことができ、あの“ハポン‼”という声や拍手も聞けました。選手たちは素晴らしい経験ができたのではないでしょうか」

【プロフィール】
いけだ・ふとし/1970年10月4日生まれ、東京都出身。武南高、青山学院大を経てJリーグ元年に浦和でプロデビュー。現役引退の翌年、1997年から浦和のユースコーチとして指導者キャリアをスタート。福岡のコーチを経て2017年にU-19日本女子代表監督に就任。同年に女子アジア選手権を優勝し、翌年のフランス・U-20女子ワールドカップで世界一に導く。2019年から再びU-19女子代表監督を務め、女子アジア選手権で連覇するものの、翌年のU-20女子ワールドカップはコロナ禍で中止に。東京五輪後の2021年からは、なでしこジャパンの監督とU-20女子代表監督を兼任する。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)
 
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