今年８月にコスタリカで開催されたU-20女子ワールドカップで、日本は２大会連続で決勝に進出した。連覇こそ達成できなかったが、現地では日本コールが沸き起こるなど、目覚ましい躍進を見せた。

　前回大会に続いてチームを決勝に導き、現在はなでしこジャパンと兼任する池田太監督に、育成年代での成功の秘訣と、今後のチーム強化について話を訊いた。［編集部・注／インタビューは９月15日に実施］

※本記事は2022年10月13日発売のサッカーダイジェスト本誌から転載。一部修正。

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　U-20日本女子代表は２大会連続で、U-20女子ワールドカップの決勝の舞台に勝ち進んだ。

　2018年のフランス大会ではアメリカ、スペインと同居したグループステージを勝ち抜き、決勝トーナメントではドイツ、イングランドを撃破、再び対峙したスペインとの頂上決戦を制し、大会６試合で15得点・３失点という圧倒的な数字で初優勝を飾った。

　今夏のコスタリカ大会でも、この世代の指揮を執った池田太監督は、再度チームを決勝の舞台に導いた。

　オランダ、アメリカ、ガーナとのグループステージ３試合を３連勝で駆け抜け、決勝トーナメントではフランス、ブラジルの列強国に劇的勝利。決勝では惜しくもスペインに敗れ２連覇はならなかったものの、現地では“ハポン（スペイン語で日本の意）”コールが沸き起こるなど、ひと際眩い輝きを放った。
 

　ただし、２つの大会では、置かれた環境が大きく異なる。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、島国の日本は諸外国に比べて不利な状況にあったのだ。両大会のチーム作りを池田監督はこう振り返る。

「前回大会（18年フランス大会）はコロナ前だったので、海外遠征や大会形式も経験し、一つひとつしっかりと積み上げていったチームでした。ただ、今回はコロナ禍の影響で海外遠征に一度も行けず、対外試合の経験も少なかった。所属チームのトレーニングや学校の環境、普段の生活でも違いがあり、今回のチームがというより、この時代の難しさがありましたね」

　そうした状況下で池田監督がポイントに挙げたのは「成長力」だった。

　コスタリカへの出国前に指揮官は今回の代表を「吸収力や理解力に長けた賢いチーム」と評価していた。

　さらに、周囲も若いなでしこたちを万全の体制でサポートし、大会へ臨んだ。スタッフは内科医を加えるなど、従来のトレーニングキャンプ時よりも多い15人体制だった。

「諸外国に比べたら特別多いわけじゃないですが、いつもより多くしてもらいました。トレーナーや分析のテクニカルスタッフも通常より増やし、大会に臨みました」

　その効果はてき面だった。難敵だらけのグループステージ。初戦でオランダと激突しても、選手たちから「分析どおりで緊張しなかった」と声が上がるほど。前半から相手を圧倒し、23分の山本柚月のゴールで逃げ切りに成功した。

「初戦の大切さは選手もすごく感じていて、ミーティングでも細かく伝えていました。相手がこう来ると予想されるから、こういう練習をしようとか、システムはこうしようかとか、そんな準備の積み重ねが、選手たちの実感につながったのでしょうね」