さて、バルサの選手がスクウェア内でボールを受けたとき、相手チームが取る３つ目の動きは、CBが前に出るケースだ。この状況を上手く利用しているのがロベルト・レバンドフスキだ。自分のポジションからより遠い位置で守っているCBの背後を突く、いうなればショート・フリーランのスペシャリストで、このポーランド代表FWの裏抜けが、インテリオールが飛び出したり、ウイングがダイアゴナルランを繰り出したりする合図になっている。

　SBが中に絞るのも、バルサの選手がスクウェアに走り込んだ際に相手チームが取ることができる動きの一つだ。もちろんこのケースで、最も恩恵を受けるのはウイングで、サイドを突破してクロスを送り込むプレーを仕掛けやすくなる。

　とりわけクンデとブスケッツのパス、エリク・ガルシアとペドリのサイドチェンジ、右インテリオールのガビのフリーランも織り交ぜて、デンベレとラフィーニャが突破役を担う右サイドからの崩しはシャビが最も比重を置いている攻撃のオートマチズムだ。
 

　中盤３枚の位置関係については、通常ガビが最もゴールに近いポジションでプレーする。ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティにおけるケビン・デ・ブライネ、ベルナルド・シウバ、イルカイ・ギュンドアンと同様に、ピッチを動き回りながらプレスに奔走し、相手のCBとSB間のスペースに顔を出す。その際、右ウイングが幅を作ることで、ガビが走り込むスペースを広げるという補完関係も築かれている。

　一方、左インテリオールが主戦場のペドリはガビよりも低い位置で、アンカーのブスケッツとほぼ横並びでプレーしている。ここでポイントとなるのが、冒頭で触れたシャビが重視している残り１つのスクウェアだ。最初の２つとは異なり、こちらはバルサの４選手が中盤でその構造を形成している。具体的には右インテリオール（ガビ）と頻繁に中に絞る左ウイングが上辺、左インテリオール（ペドリ）とアンカー（ブスケッツ）が下辺に位置する。

　この低いポジション取りによってペドリがブスケッツとともに託されているのが、ディフェンスと前述のスクウェアの上辺に位置する２選手を繋ぐ役割だ。レアル・マドリーのトニ・クロースがこなしているように、ビルドアップに積極的に絡みながら、攻撃のタクトを振るい、なおかつ左SBがオーバーラップし、左ウイングが中に絞りやすい状況を作るというこの３つ目のスクウェアを維持する上で不可欠な働きを見せている。