そんななか、ここ２試合で６失点している守備は不安材料だ。鬼木監督がセーフティリードと考えてきた３得点は直近２試合で奪えてはいるが、失点が止まらない。

　名古屋戦（22節／１－１）を起点に４試合連続で先制しながらも追いつかれている。相手に握られる時間帯が長く続き、川崎らしさが十分に発揮できてないのがその一因だ。

　川崎に残された３試合のうち、京都戦と神戸戦は声出し応援の等々力で戦えるメリットがあるが、京都にはアウェーで敗れており、神戸は大迫勇也の復帰などで復調。ともに難敵なのは間違いない。

　さらに最終節はアウェーの多摩川クラシコ。ともに切磋琢磨してきたFC東京との直接対決は、もし仮にここまで優勝争いがもつれていたとしても、そうでなくても白熱するものになるはず。

　３連覇のため、まずは３連勝したい川崎ではあるが、乗り越えるべきハードルは高い。その高いハードルを超えるために、今すぐにでも手を付けたいのは守備だ。そのなかでも即時奪回を期待したいが、最終ラインに怪我人が多い現状を考えると、なかなか簡単ではない。
 

　ただし即時奪回は攻撃にもつながるもので、いかにして高い位置から守備を始められるのか。そして奪いきれるのか。挑戦してもらいたいところだ。

　なお、清水戦の後半。小林と知念の２トップが前から追い始めると、等々力を埋めたサポーターからはそれを後押しする万雷の手拍子が聞こえてきた。

　声出し応援ができる声出しエリアに加え、声を出せないエリアのサポーターからの、守備の局面における手拍子は、川崎の選手たちを強力に後押しする。鬼木監督は清水戦を前に、奇跡という言葉を口にしているが、その奇跡を起こすためにも、スタジアムが一体化したサポートは大きなアドバンテージになりそうだ。

取材・文●江藤高志（川崎フットボールアディクト）

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