「カーニャ」がスペインのテレビやネット上で話題に。
後半にはさっそく結果を出す。
49分、カウンターからCFのボルハ・バストンがキープし、ボールは縦に走りこんでくる乾へ。わずかな体の動作でDFを抜き去り、切り返し、また抜きと、相手を二度翻弄して、アシストに繋げた。
スペイン・メディアは、こぞってこのプレーを絶賛している。
アス紙は「ディフェンダーを翻弄するスーパープレー」、マルカ紙は「日本の魔法をみせた」と賞賛。マルカ紙もムンド・デポルティボ紙も、2ゴールのボルハと並ぶこの日の最高点を付けた。
現地で「カーニョ」と呼ばれるまた抜きは、スペイン人が最も好むプレーのひとつだ。テレビやネット上でもこのシーンは話題になり、5節のトピックのひとつにまでなった。
スペイン中にインパクトを与えたこの場面を、乾は冷静に振り返っている。
「あれはラッキーでした。また抜きは狙ってなかったですし、相手が起き上がった時に、たまたまという感じで。ボールが回ってくる分楽しいですけど、もっといいプレーをしなければと思う。アシストできたのはよかったですが、チームが勝てなかったのは残念(2-2の引き分け)。勝って喜びたかった」
久しぶりの公式戦だったからだろう。後半は足がつっていたという。
「60分すぎから足がつりかけてて。いつ代わるのかと思っていたけど、自分から交代を求めるのは嫌だった。公式戦は久しぶりでしたし、前半から飛ばしていました。ただ、ベンチには良い選手がいっぱいいるので、自分は前半で疲れ切っても大丈夫なくらい走ろうと思って」
サイドから仕掛けるプレーと、献身的な守備。ベンチに下がるまでの72分間で、乾は十分やるべきことを果たした。
中2日で迎える9月26日の6節は、5節に乾が「一番好き」と語るバルセロナを4-1で破った好調セルタだ。
「やることは変わらない。これからチームメイトとの連携ももっとよくなっていくと思います。ホームでは負けたくないですし、勝てるように」
スペインでの乾への評価と注目度は、レバンテ戦の72分間で急上昇した。
もちろん、セルタ戦での先発が決まったわけではない。中2日という強行日程に、サウール・ベルホンとのポジション争いもある。
しかし、ポジティブなスタートを切ったことはたしかだ。
「デビューは、やっぱり嬉しかった。それもあって足がつったのかもしれないです」
憧れの地でデビュー戦を飾ったドリブラーは、最後に笑った。
文:豊福晋
【著者プロフィール】
豊福晋
1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
49分、カウンターからCFのボルハ・バストンがキープし、ボールは縦に走りこんでくる乾へ。わずかな体の動作でDFを抜き去り、切り返し、また抜きと、相手を二度翻弄して、アシストに繋げた。
スペイン・メディアは、こぞってこのプレーを絶賛している。
アス紙は「ディフェンダーを翻弄するスーパープレー」、マルカ紙は「日本の魔法をみせた」と賞賛。マルカ紙もムンド・デポルティボ紙も、2ゴールのボルハと並ぶこの日の最高点を付けた。
現地で「カーニョ」と呼ばれるまた抜きは、スペイン人が最も好むプレーのひとつだ。テレビやネット上でもこのシーンは話題になり、5節のトピックのひとつにまでなった。
スペイン中にインパクトを与えたこの場面を、乾は冷静に振り返っている。
「あれはラッキーでした。また抜きは狙ってなかったですし、相手が起き上がった時に、たまたまという感じで。ボールが回ってくる分楽しいですけど、もっといいプレーをしなければと思う。アシストできたのはよかったですが、チームが勝てなかったのは残念(2-2の引き分け)。勝って喜びたかった」
久しぶりの公式戦だったからだろう。後半は足がつっていたという。
「60分すぎから足がつりかけてて。いつ代わるのかと思っていたけど、自分から交代を求めるのは嫌だった。公式戦は久しぶりでしたし、前半から飛ばしていました。ただ、ベンチには良い選手がいっぱいいるので、自分は前半で疲れ切っても大丈夫なくらい走ろうと思って」
サイドから仕掛けるプレーと、献身的な守備。ベンチに下がるまでの72分間で、乾は十分やるべきことを果たした。
中2日で迎える9月26日の6節は、5節に乾が「一番好き」と語るバルセロナを4-1で破った好調セルタだ。
「やることは変わらない。これからチームメイトとの連携ももっとよくなっていくと思います。ホームでは負けたくないですし、勝てるように」
スペインでの乾への評価と注目度は、レバンテ戦の72分間で急上昇した。
もちろん、セルタ戦での先発が決まったわけではない。中2日という強行日程に、サウール・ベルホンとのポジション争いもある。
しかし、ポジティブなスタートを切ったことはたしかだ。
「デビューは、やっぱり嬉しかった。それもあって足がつったのかもしれないです」
憧れの地でデビュー戦を飾ったドリブラーは、最後に笑った。
文:豊福晋
【著者プロフィール】
豊福晋
1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。