• トップ
  • ニュース一覧
  • FIFAも“想定外”だったイスラエルのU-19欧州選手権準優勝。アマチュア軍団のU-20W杯出場が「頭痛の種」になる理由

FIFAも“想定外”だったイスラエルのU-19欧州選手権準優勝。アマチュア軍団のU-20W杯出場が「頭痛の種」になる理由

カテゴリ:ワールド

リカルド・セティオン

2022年07月12日

そもそもなぜイスラエルがUEFAに加盟しているのか?

 そもそもこの決勝で一番に疑問を感じるのは、なぜイスラエルがヨーロッパ選手権に出場するかだろう。地理的に言えば、イスラエルはアジア、もしくは少なくとも隣接するアフリカに属するべきである。とにかくヨーロッパの国ではない。これには複雑な歴史と政治が絡んでくる。

 もともとイスラエルはA代表も含め、AFCに属していた。64年にはアジアカップを開催して優勝したこともあるし。70年のメキシコW杯にはアジアの代表として出場したこともあった。だが、その後パレスチナ問題が激化し、中東戦争が起こると、アジアの主にイスラム圏の国がイスラエルと対戦することを拒否。1974年に行われた投票の結果AFCから除名処分となった。

 その後イスラエルは長い間どこのサッカー連盟にも属さず、放浪が続く。ある時はヨーロッパのチームとして、ある時はオセアニアのチームとして扱われ、W杯予選を戦った。そして1992年になってやっとUEFAの正式メンバーに落ち着いた。

 イスラエルがUEFAに加入できたのは、ただヨーロッパが彼らを受け入れたという理由だけからではない。強豪ひしめく欧州に所属すれば、まずW杯には出場することが不可能だと認識されたからだ。
 
 例えば、今回のカタールW杯にイスラエルが出場していたら? カタールはイスラエルと国交がない。もしくはW杯でイランと対戦することになってしまったら? 何が起こるかわからない。FIFAは「サッカーに政治は関係ない」と言っているが、それは大嘘である。

 ところが今回困ったことが起こってしまった。先にも述べたようにU-19ヨーロッパ選手権はW杯予選も兼ねており、上位5チームは自動的に2023年のU-20W杯の出場権が得られる。つまりイスラエルが世界大会に出てしまうのだ。

 しかも開催地はイスラム国のインドネシア。かつてイスラエルのAFC追放を願った国である。いったいそこで何が起こるのか、誰にも予測できない。FIFAにとっても正直頭痛のタネだろう。

【PHOTO】2022年夏の移籍市場で新天地を求めた名手たちを一挙紹介!

文●リカルド・セティオン(text by Ricardo SETYON)
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
 
【関連記事】
「クボを通貨として利用」久保建英とソシエダ主砲との“トレード案”が急浮上!現実味はあるのか?
城彰二が森保JのW杯メンバーを予想!大迫、浅野、古橋、前田、上田のFW争いで落選するのは?「大好きだけど入らない」
「信じられない経験をした」F・トーレスが日本時代を回想!「だから1年しか滞在しなかった…」
「女性の場合、試合前の“夜の営み”は普通。でも…」ロシア女子代表GKの赤裸々発言が大反響!過去には「最も美しい20人のアスリート」に選出
「登場人物全員エグすぎる」久保建英が“鬼”となったマドリーの豪華ロンドにファン感嘆!「すげえメンツとやってんなぁ」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ