そもそもなぜイスラエルがUEFAに加盟しているのか?
そもそもこの決勝で一番に疑問を感じるのは、なぜイスラエルがヨーロッパ選手権に出場するかだろう。地理的に言えば、イスラエルはアジア、もしくは少なくとも隣接するアフリカに属するべきである。とにかくヨーロッパの国ではない。これには複雑な歴史と政治が絡んでくる。
もともとイスラエルはA代表も含め、AFCに属していた。64年にはアジアカップを開催して優勝したこともあるし。70年のメキシコW杯にはアジアの代表として出場したこともあった。だが、その後パレスチナ問題が激化し、中東戦争が起こると、アジアの主にイスラム圏の国がイスラエルと対戦することを拒否。1974年に行われた投票の結果AFCから除名処分となった。
その後イスラエルは長い間どこのサッカー連盟にも属さず、放浪が続く。ある時はヨーロッパのチームとして、ある時はオセアニアのチームとして扱われ、W杯予選を戦った。そして1992年になってやっとUEFAの正式メンバーに落ち着いた。
イスラエルがUEFAに加入できたのは、ただヨーロッパが彼らを受け入れたという理由だけからではない。強豪ひしめく欧州に所属すれば、まずW杯には出場することが不可能だと認識されたからだ。
もともとイスラエルはA代表も含め、AFCに属していた。64年にはアジアカップを開催して優勝したこともあるし。70年のメキシコW杯にはアジアの代表として出場したこともあった。だが、その後パレスチナ問題が激化し、中東戦争が起こると、アジアの主にイスラム圏の国がイスラエルと対戦することを拒否。1974年に行われた投票の結果AFCから除名処分となった。
その後イスラエルは長い間どこのサッカー連盟にも属さず、放浪が続く。ある時はヨーロッパのチームとして、ある時はオセアニアのチームとして扱われ、W杯予選を戦った。そして1992年になってやっとUEFAの正式メンバーに落ち着いた。
イスラエルがUEFAに加入できたのは、ただヨーロッパが彼らを受け入れたという理由だけからではない。強豪ひしめく欧州に所属すれば、まずW杯には出場することが不可能だと認識されたからだ。
例えば、今回のカタールW杯にイスラエルが出場していたら? カタールはイスラエルと国交がない。もしくはW杯でイランと対戦することになってしまったら? 何が起こるかわからない。FIFAは「サッカーに政治は関係ない」と言っているが、それは大嘘である。
ところが今回困ったことが起こってしまった。先にも述べたようにU-19ヨーロッパ選手権はW杯予選も兼ねており、上位5チームは自動的に2023年のU-20W杯の出場権が得られる。つまりイスラエルが世界大会に出てしまうのだ。
しかも開催地はイスラム国のインドネシア。かつてイスラエルのAFC追放を願った国である。いったいそこで何が起こるのか、誰にも予測できない。FIFAにとっても正直頭痛のタネだろう。
【PHOTO】2022年夏の移籍市場で新天地を求めた名手たちを一挙紹介!
文●リカルド・セティオン(text by Ricardo SETYON)
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
ところが今回困ったことが起こってしまった。先にも述べたようにU-19ヨーロッパ選手権はW杯予選も兼ねており、上位5チームは自動的に2023年のU-20W杯の出場権が得られる。つまりイスラエルが世界大会に出てしまうのだ。
しかも開催地はイスラム国のインドネシア。かつてイスラエルのAFC追放を願った国である。いったいそこで何が起こるのか、誰にも予測できない。FIFAにとっても正直頭痛のタネだろう。
【PHOTO】2022年夏の移籍市場で新天地を求めた名手たちを一挙紹介!
文●リカルド・セティオン(text by Ricardo SETYON)
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。