日本がW杯で対戦するドイツ代表、2選手の復調に見る4年前との“大きな違い”

カテゴリ:国際大会

中野吉之伴

2022年06月30日

「今日見せてくれたサッカーは素晴らしかった」

イタリア戦後に自信をのぞかせる発言をしたフリック監督。(C)Getty Images

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 また、不調だった選手への対処法がうまくいったのも興味深い。代表でも所属クラブでもいまいちのプレーが続いていたティモ・ヴェルナーとザネだ。ファンやメディアからはため息がこぼれることも少なくないが、このイタリア戦でスタメン起用され、信頼関係とはなにかというのを見せた。フリックはこう話していた。

「選手が信頼を感じることが大事だ。我々はそのようにアプローチしていこうと思っている。ティモが今日2ゴール、レロイも非常にいいプレーを見せてくれた」

 選手はそれぞれ性格も、感覚も違う。同じように対処すればいいわけではない。例えば「プレーへの喜びを持った」と表現がされる選手がいる。ザネはそうしたタイプの選手だろう。ボールを持ってプレーすることを誰よりも愛する選手にチームプレーを要求するときに、チームを助けてくれというメッセージだけでは不十分になる。彼らしさを出せるようにボールをどんどん預けていくというチームからのサポートも大切だからだ。

 イタリア戦ではザネやヴェルナーがミスをしても、何度も鼓舞され、何度もパスが送られた。そんな仲間のサポートを受けてザネが走り出す。27分、イタリアがセンターから左サイドへ展開していくところで、ザネが味方選手を何人も追い越して相手選手にタックルしたシーンではファンからの大きな拍手が送られていた。
 
 ヴェルナーは本調子とはまだほど遠いパフォーマンスではあったが、68分に待望のゴール。トーマス・ミュラーのチャンスメイクからニャブリのおぜん立てを受けて身体ごとゴールに飛び込むような得点だった。迷い全てを吹き飛ばすような勢いを感じさせられる見事なゴールだ。

 頭をクリアにする時間が必要なことがある。1試合で変わるなんてことはない。だが、時間や環境の変化が何かのきっかけになることがある。フリックの信頼が彼らを支え、選手がそれに応えようと取り組む関係性が確かにあることが素晴らしい。

 怖い時のドイツだ。1試合ごとに課題を修正して、調整してきている。2018年の時とはここが違う。当時は、試合を重ねても不安定さがあったのに、「ワールドカップ本大会が始まれば大丈夫」という雰囲気があった。でも結果はご存じの通りグループステージ敗退。ポジティブ思考は大切だが、楽観視するあまりに課題に正しく向き合わないようでは問題解決の糸口をつかむこともできない。

 今回のドイツは違う。

「今日はストレステストだった。勝ちたかった。それをやり切ったチームをほめたい。今日見せてくれたサッカーは素晴らしかった。勇敢で、オフェンシブで、高い位置からプレスをかけていく。いい気持ちで休みに入れる」

 イタリア戦後の記者会見におけるフリックの発言は、とても朗らかで自信にあふれていた。試合を重ねるごとに自分たちの足らないところに取り組み、若手に出場機会を与え、うまくいっていない選手のサポートもクリアしていく。チーム作りはかなり順調に進んでいるようだ。

文●中野吉之伴

【動画】ドイツの守護神ノイアーが、イタリア戦で見せた衝撃の神セーブ
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