タイスコアとなった後は両チーム無得点に終えたが、流れは完全に名古屋が引き寄せて、逆転にあと一歩のところまで鹿島を追い詰めた。
鹿島もA・カイキのヘディングシュートがバーに二度当たる好機を演出したが、いずれも決まらず。名古屋も多くのチャンスを作ったが、鹿島のディフェンスラインの粘りとGKクォン・スンテの好守に遭い、試合を仕留めきれなかった。
前半で試合を決めに来た鹿島をしのぎ、堅実な攻撃と試合運びで後半にパワーダウンしなかった名古屋の戦いぶりは巧者ぶりも感じさせ、だからこそ決勝点も奪って名実ともに“試合巧者”を鹿島に見せつけたかったのは残念なところ。チームの想いを代弁する中谷は最後にこう言った。
我慢もできる、そこから反撃の糸口も手繰り寄せられる
「PKの後に何度もチャンスはありましたし、最後もチャンスはあった。あそこでポンと点が入るものですけど、なかなか今シーズンはそこが来ない。だからこそ失点ゼロで抑えないといけなかった。チームとしては、点が取れないのであれば後ろがしっかり我慢しないといけない」
我慢もできる、そこから反撃の糸口も自分たちで手繰り寄せられる。序盤の苦戦から様々な教訓と反省を得た名古屋は、首位を争う強豪とも渡り合う力は蓄えた。そのことを誇示できたシーズン折り返しの１８節は、彼らにとって悔しさという糧と、やれるという自信を認識させるに十分な内容があったのではないか。
取材・文●今井雄一朗（フリーライター）
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