パリ五輪に向けて着実に前進した大岩ジャパン。3位フィニッシュのU-23アジア杯で手にした3つの収穫【U-21代表】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2022年06月22日

勝負が懸かった試合で戦術を取捨選択

「23人全員と戦い抜けたのは非常に大きなこと」と振り返る大岩監督。目標の優勝は果たせず「最低限の結果を残しただけ」と語り、「この悔しさを次の大会に生かしたい」と前を向いた。(C)2022 Asian Football Confederation (AFC)

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 2つ目は、チームとしての成熟度を高められた点だ。3月に発足した大岩ジャパンの活動は、今大会が4回目となる。うち2回は国内のショートキャンプで、じっくりとチームを作る機会は3月下旬に10日間ほどあったドバイカップだけだった。今後も長期間の活動ができる機会は限られており、スタッフと選手の関係性を深める場として、6試合をこなせた今回のU-23アジアカップは大切な時間だったと言える。

 ボールを動かすスタイルを志向するうえで欠かせないビルドアップの方法や、プレスの掛け方などを落とし込み、相手を見ながら戦う経験ができた。4−3−3をベースとしたが、相手の立ち位置によってポジショニングを変更。守備時はインサイドハーフのひとりを前線に押し出す4−4−2の形でプレスを掛け、攻撃では相手の布陣を見たうえで4−2−3−1に移行して攻撃を仕掛ける試合も多かった。特に前線からの守備は大会を通じて機能し、MF藤田譲瑠チマ(横浜)も手応えを得たと振り返る。

「(6試合で3失点に抑えられたのは)ディフェンスラインの選手が身体を張った守備をしてくれたことや、前線からの献身的な守備があると思う。ハードワークは意識的にみんなやれていただけではなく、自然にできていたのですごく良かった」

 中2日の試合が続いたが、勝負が懸かった試合で戦術を取捨選択できた経験は大きな意味を持つ。
 
 3つ目が、23人でひとつの大会を戦い抜いた経験だ。3月下旬のドバイカップは27人の選手に均等な出場時間を与えながら戦ったが、23人のメンバーである程度スタメンを固定して、ひとつの大会を終えたのは今回が初めて。「疲労が蓄積している選手をどうやって(良い状態に)持っていくのかは苦心した」と大岩監督が認めた通り、コンディションにバラつきがあった初戦は勝利を目ざしながら、選手の状態を上げるために先発メンバーを選んだ。シーズンが終わって間もない海外組のMF斉藤光毅(ロンメル)、DF内野貴史(デュッセルドルフ)、チェイスをスタートから起用するなど、大会終盤を見越してピッチに送り出したのはそのためだ。

 以降もコンディションの向上と勝利の両睨みで、ノックアウトステージ進出がほぼ決まっていた3戦目はメンバーを大幅に入れ替えて準々決勝に備えた。新型コロナウイルスの影響やGSの2戦目と3戦目に退場者を出した関係で、準々決勝以降のメンバー構成が想定より難しくなったのは否めない。選手の負担を軽減できず、疲労が溜まっていたウズベキスタン戦は運動量が下がった影響で、低調な内容で敗れてしまった。

 ただ、本職がSBの内野やFWを主戦場とする藤尾翔太(徳島)を右サイドハーフで起用し、新たな可能性を引き出せたのは、限られたメンバーで戦ったからこそ。コロナ禍という特殊な環境や海外組と国内組の状態を見極めながら戦えた点も含め、ひとつの大会を戦うためのチームマネジメントを経験できたのは次につながる。

 FW鈴木唯人(清水)の個人技に依存しがちだった攻撃面や、本来は最前線が主戦場ながら左サイドハーフに回って思うようなプレーができなかった斉藤をどこに配置するかなど、少なからず課題もあった。だが、今大会で得た経験値は財産だ。9月に中国で行なわれるはずだったアジア大会が来年に延期となったため、長丁場のコンペティションは当面予定されていない。だからこそ、3位に入って第1ポットを獲得できた以上に、アジアカップで6試合を戦えたことに価値がある。大岩ジャパンの旅路はまだ始まったばかりだが、パリ五輪に向けて大きな一歩を踏み出す場になったはずだ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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