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【ドイツ人記者レポート】規模は小さいが、やることはデカい! 武藤嘉紀を獲得したマインツの“本当”のクラブ事情とは?

カテゴリ:日本代表

サッカーダイジェスト編集部

2015年09月01日

33歳のクロップ、36歳のトゥヘルを監督に大抜擢。フロントの判断は実に早かった。

クラブ誕生から100年、マインツを史上初の1部に導いた時のワンシーン。その中心にいたのがクロップだ。写真:Getty Images

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トゥヘルはクラブ史上最高の5位に導くなど、新たな歴史を作る。その手腕が認められ、今季からドルトムントで指揮を執ることに。写真:Getty Images

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 兄のヴァルター氏は、FDP(自由民主党)党員として、ラインラント=プファルツ州の議員を務めた経歴を持つ。父も同じく政治家だった。
 
 また、クリスティアン・ハイデルGM(ゼネラルマネジャー)は生まれも育ちもマインツで、自動車ディーラーを経て92年にフロント入り。“マインツ愛”は相当で、06年まではノーギャラでマネージャーをしていた。
 
 これだけ長い間、フロントの2トップが変わらないクラブは決して多くはない。経営とチームづくりの酸いも甘いも知る息の合うコンビだからこそ、思い切った決定を下せてきたと言える。
 
 契約期間を設けない「永久監督」の待遇だったクロップだが、08年、当時低迷していたドルトムントに引き抜かれる。後任にはヨルン・アンデルセンが就き、クラブを1部復帰に導く。
 
 しかし09年の開幕直前、マインツはアマチュアのリューベックに敗れる大失態を演じると、フロントはこのノルウェー人監督を電撃解任する決断を下す。代わって直前にユースチーム(マインツU-19)を全国優勝させたトーマス・トゥヘルを、新指揮官として昇格させたのだ。
 
 33歳のクロップと36歳のトゥヘルの大抜擢――。共通するのが、フロントの決断の早さだった。
 
「いずれトップチームの監督を務める人材」と判断すれば、他クラブにヘッドハントされる前に、即起用してきた。
 
 とはいえ、アマチュアチームでの指導経験しかないトゥヘルの手腕は、当初懐疑的に見られていた。ただしテクニックと運動量をベースとした戦いを理想に掲げるクラブにあって、戦術に関する豊富な知識と引き出しを持ち合わせる彼は、チーム力を高めるには、うってつけの人材と言えた。
 
 シュトルツ会長とハイデルGMから全幅の信頼を寄せられた指揮官の下、10-11シーズンには、首位に立って6節の王者バイエルンをアウェーで撃破する。マインツはこの時点で、バイエルンに勝点10差まで広げるセンセーションを巻き起こしたのだ。
 
 最終的に過去最高の5位で終え、翌シーズンのヨーロッパリーグに初めて参戦。(前指揮官のクロップ率いるドルトムントが旋風を巻き起こしたのも手伝って)欧州でも知られる存在になっていった。
 
 また11年7月には、郊外に近代的スタジアムのコファス・アレーナが完成する。3万4000人収容と集客力がアップし、クラブの収入も大幅に増えた。
 
 一方、マインツはクロップ体制時から、育成型クラブとしてのスタンスを貫く。
 

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