並のFWとは違う動き――ガーナ戦は無得点だったCF上田綺世をポジティブに評価できるワケ

カテゴリ:日本代表

河治良幸

2022年06月12日

本格派ストライカーならではの“磁力”

今季はJ1でここまで得点ランクトップの10得点をマーク。持ち前の決定力を代表のピッチでも発揮したい。(C)SOCCER DIGEST

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 44分に同点とされた後、すぐに勝ち越し点を決めたのは三笘だ。伊藤とのコンビネーションから右足で巻いたシュート性のクロスがそのままゴール右に吸い込まれたが、上田が裏抜けのモーションを取ったことで、左CBのセイドゥと中央のアッドが引き付けられた。ここは三笘としても、上田か、ファーサイドから堂安が合わせても良いイメージだったと思うが、結局そのままファーサイドに吸い込まれた。

 チーム3点目となる73分の久保のゴールは、左サイドで三笘が縦に仕掛け、そこから中に入り込んで右足で上げたマイナスのボールを久保が左足のハーフボレーで蹴り込むという形だった。

 ここでも上田はゴール前の中央から一瞬でアッドとセイドゥの合間を狙う動きで、手前に久保のシュートスペースを提供している。もっとも、上田としても久保のためにダミーの動きをしたというより、クロスが来たら合わせるという意図を感じさせた。それが迫力となって相手を引きつけていたとも言える。

 その後、上田は80分に交代し、その2分後に前田がダメ押し弾を決めた。

 上田が絡んだ3得点それぞれに効果的な動きが見られた一方で、上田にもゴールチャンスが全くなかった訳ではない。20分には堂安のシュートがブロックされた2次攻撃から、柴崎のクロスに右からヘッドで合わせるシーンがあったが、GKの正面に飛んでしまった。63分には遠藤を起点に久保からボールを受け取り、シュートまで持ち込んだが枠を捉えられなかった。

 鹿島であれば2トップの相棒である鈴木優磨が幅広く起点になることで、上田はフィニッシャーに徹することができるが、日本代表ではポストプレーや相手のディフェンスを引きつける役割を果たしながら、一瞬のチャンスを逃さずにゴールを狙わなければいけない。

 さらに柴崎は「おそらくJリーグでは抜け出せているところで、ガーナの身体能力とか違うものを感じていると思う」と国際試合ならではの難しさも指摘する。さらにガーナが試合前と違う3バックだったことで、日本にとっての難しい部分とやりやすい部分が変わった。上田にとっては難しいシチュエーションだったと言える。

 ストライカーである以上、いかなる状況であってもゴールが求められるものだし、上田も今回の状況が言い訳材料にならないことは人一倍、理解しているはず。しかし、同時に日本代表のFWに求められるタスクを考えると、得点や直接のアシストではない部分も評価するべきだ。
 
 上田は大迫のようなポストプレーヤーではない。しかし、やはり前田や古橋亨梧、浅野拓磨とも違う本格派ストライカーならではの“磁力”のようなものがある。それをチームとして生かして得点することも有効だが、次は周囲が上田に点を取らせる動きをより意識すれば、それが相乗効果に変わってくる。

 正直、彼は今回のフィールドプレーヤーの中では、カタール・ワールドカップに向けて厳しい立場にあると見なされたかもしれない。しかし、だからこそメンバー入りした時には日本が躍進するための重要なピースになるという期待もある。

 14日のチュニジア戦で、どれだけ時間をもらえるか分からないが、その中で今度こそ点取り屋としての能力を発揮してもらいたい。

取材・文●河治良幸

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