“エゴイスト”から“周りを生かせるアタッカー”へ! 変貌を遂げた堂安律の現在地

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2022年06月03日

久保とのポジション争いは堂安が一歩リード

90分を通して強度が落ちることはなく、献身的姿勢で日本の快勝に貢献した。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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「律と元気くんと近い距離感でプレーすることが多かったので、3人で連動しながらできていた。律は左利きでゴールに向かっていくのが特長の選手なので、インナーラップするなりして、相手の目線を少しでも縦に意識させることで、彼がカットインする機会が多くなるように考えていました」と山根も堂安を生かそうと務めていた。そういった関係性も彼が輝く要因になったと言っていい。

 後半も強度が落ちることはなく、中寄りの位置で攻撃の起点になると同時に、リスタートのキッカーとしても存在を示す。自らの仕掛けとスルーパスから得た70分のPKを決めていたら文句なしだったが、このシュートはまさかのGK正面。本人も2019年1月のアジアカップ、ベトナム戦以来となる代表ゴールを奪えず、悔しさいっぱいだったに違いない。

 それでも献身的姿勢を忘れず、4-1勝利の原動力になったことは高く評価されていい。

「何も考えずサッカーを楽しんでいるときは調子が良い。その感覚をビーレフェルトに移籍してからの2年間で取り戻している。PSVで今シーズンもそうですけど、考えすぎないでプレーするのが大事なんじゃないかなと思います」と本人も話していたが、今は間違いなく肩の力が抜けた状態。そういうときの堂安は、本当に多彩なパフォーマンスを見せられる。

 この一挙手一投足なら、爆発的スピードと決定力でのし上がった伊東との差別化も可能だろう。場合によっては4-3-3のインサイドハーフ、4-2-3-1のトップ下というオプションも生まれそうだ。
 
 となると、今度は久保建英(マジョルカ)との競争ということになる。パラグアイ戦は堂安が71分間、久保が19分間プレーし、明らかに堂安のほうが数多くの見せ場を作り、好印象を残したが、左足キックの精度と臨機応変な状況判断力を備えた久保の才能を森保監督は高く買っている様子。だからこそ、3月シリーズで彼を残したのだろう。

 6月4連戦の第一ラウンドは堂安リードの状況だが、6日のブラジル戦以降、どうなるかまだ分からない。だからこそ、堂安はこの水準を維持し、さらに高い領域に上り詰める必要がある。

 とりわけ、強豪相手にはボールを奪い切る守備というのが強く求められる。そこは堂安自身もよく認識している点だ。

「昨年、ドイツに移籍してすごく強度の高い守備ができるようになった。そこは僕自身、成長したと思っていますし、PSVに戻ってからも監督がウイングに対して守備をすごく求める人だったので、そこを評価してもらって1年間、出場時間を多くもらえた」と彼自身も言う。

 その自信を確信に変えるべく、ブラジル戦で出番が訪れた場合には、“フォア・ザ・チーム精神”を忘れることなく、地に足をつけて泥臭く戦い続けてほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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