いよいよ本領発揮!! 本田が自分を犠牲にする時期は終わった。
ではこの先、ミハイロビッチ監督をより納得させ、4-3-1-2のトップ下は彼しかいないと思わせるために、本田は何をすべきか? その答えは、足の回転を決して止めないこと、つまりスピードである。スピードは、どんな相手にも、どんな局面でも有効な武器である(8月23日の開幕戦の相手はフィオレンティーナ、簡単な相手ではない)。
ミハイロビッチ・サッカーの基本のひとつに「ツータッチ」がある。ストップしてパス。特別な技というわけではないが、とにかくスピードのあるプレーを彼は目指している。本田が夏のハードワークの疲れを全て取り除いたなら、まずスピードあるプレーを目指さなくてはならない。
ここで彼にとって大きな幸運は、もうサイドで上がったり下がったりしなくてもいいということだ。ミランに来て1年半、自陣深くに戻って守備をするなど、本田は常に自分を犠牲にしてきたが、もうそれも終わりだ。
コッパ・イタリアのペルージャ戦までは、本田の働きが十分でなかったこともあり、彼に関する移籍の噂が、イタリアのマスコミの間では飛び交っていた。移籍先はトッテナムと言う者もいれば、エバートンだと言う者もいた。それらは決して、根拠のない噂ではなかっただろう。
しかし、本田に近しい人間から聞いた話によると、彼にはミランを出ていく意思は全くないということだった。本田は、ミランとの契約を常に尊重している。
そして今回、ミハイロビッチ側も本田が本調子になるのを待っていることが分かった。
もちろん、現在の良い関係を続けていくには、本田が今のリズムを維持していくことが重要だ。昨年は6月の半ばまでワールドカップでプレーし、疲れがとれないままハードなシーズンに突入。途中にはアジアカップもあり、なかなかリズムを維持することができなかった。
しかし、それを言い訳にすることはできない。カルロス・バッカだって、今夏にコロンビア代表としてコパ・アメリカでプレーしてからミランに合流したが、すでに活躍を見せているではないか……。
本田がミランに来てから1年半の間、彼が輝いていたのは、7試合で6ゴールをマークした昨シーズンの冒頭だけだ。しかし、本田がカルチョの世界とはまるで異なるロシアのチームから来たことや、短い間に4度も監督が代わったことも忘れてはいけない。
また、本田のファンがミランの内部にも多くいることも強調しておきたい。
マーケティングを担当するバルバラ・ベルルスコーニは、本田のことをアジアマーケットにおけるアイコンだと思っているし、その父でオーナーのシルビオも、本田を新生ミランの礎となる外国人選手のひとりに挙げている(あとのふたりはディエゴ・ロペスとジェレミー・メネーズ)。
さあ、ついにセリエAが開幕する。本田が昨シーズン同様、爆発的なスタートを切ることができるか、そしてそれを長く続けられるか、皆が注目している。公式戦での初ゴールを決めるなど、その予兆は現われている。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
ミハイロビッチ・サッカーの基本のひとつに「ツータッチ」がある。ストップしてパス。特別な技というわけではないが、とにかくスピードのあるプレーを彼は目指している。本田が夏のハードワークの疲れを全て取り除いたなら、まずスピードあるプレーを目指さなくてはならない。
ここで彼にとって大きな幸運は、もうサイドで上がったり下がったりしなくてもいいということだ。ミランに来て1年半、自陣深くに戻って守備をするなど、本田は常に自分を犠牲にしてきたが、もうそれも終わりだ。
コッパ・イタリアのペルージャ戦までは、本田の働きが十分でなかったこともあり、彼に関する移籍の噂が、イタリアのマスコミの間では飛び交っていた。移籍先はトッテナムと言う者もいれば、エバートンだと言う者もいた。それらは決して、根拠のない噂ではなかっただろう。
しかし、本田に近しい人間から聞いた話によると、彼にはミランを出ていく意思は全くないということだった。本田は、ミランとの契約を常に尊重している。
そして今回、ミハイロビッチ側も本田が本調子になるのを待っていることが分かった。
もちろん、現在の良い関係を続けていくには、本田が今のリズムを維持していくことが重要だ。昨年は6月の半ばまでワールドカップでプレーし、疲れがとれないままハードなシーズンに突入。途中にはアジアカップもあり、なかなかリズムを維持することができなかった。
しかし、それを言い訳にすることはできない。カルロス・バッカだって、今夏にコロンビア代表としてコパ・アメリカでプレーしてからミランに合流したが、すでに活躍を見せているではないか……。
本田がミランに来てから1年半の間、彼が輝いていたのは、7試合で6ゴールをマークした昨シーズンの冒頭だけだ。しかし、本田がカルチョの世界とはまるで異なるロシアのチームから来たことや、短い間に4度も監督が代わったことも忘れてはいけない。
また、本田のファンがミランの内部にも多くいることも強調しておきたい。
マーケティングを担当するバルバラ・ベルルスコーニは、本田のことをアジアマーケットにおけるアイコンだと思っているし、その父でオーナーのシルビオも、本田を新生ミランの礎となる外国人選手のひとりに挙げている(あとのふたりはディエゴ・ロペスとジェレミー・メネーズ)。
さあ、ついにセリエAが開幕する。本田が昨シーズン同様、爆発的なスタートを切ることができるか、そしてそれを長く続けられるか、皆が注目している。公式戦での初ゴールを決めるなど、その予兆は現われている。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。