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日本代表から漏れても…鎌田大地が作り出す元浦和のレジェンドのような「決定的な違い」。“懲罰交代”をした指揮官も「勝利に導く資質があるからこそ」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中野吉之伴

2022年04月02日

「カマダはかつてのウーベ・バインのようだ」

相性のいいELでは4ゴール。8強入りに貢献している。(C)Getty Images

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 そういえば、地元紙のヘッセンシャウが「カマダはかつてのウーベ・バインのようだ」と称えていたことがあった。元ドイツ代表で1990年ワールドカップの優勝メンバー。浦和レッズでも披露したパサーとしての異能ぶりを覚えているファンも多いのではないだろうか。フランクフルトのファンにとってもそうだ。1889~94年までフランクフルトで150試合に出場した天才レフティは今も愛され続けている。

 そのバインのかつてのチームメイトであるマウリツィオ・ガウディーノは「ウーベがボールを持ったらそのまま走り続ける以外のことをする必要がない。いつもスパイクに磁石がついているかのようにボールを受け取ることができるんだ」と最大級の賛辞をしていたことがある。

“後継者”である鎌田にもそうした片鱗がきらりと光る瞬間がある。「どれだけ優れた攻撃陣がいてもパスがそこに出てこなければ意味がない。だが、フランクフルトにはカマダがいる」とヘッセンシャウ紙は称賛を惜しまない。
 
 試合を見ていると鎌田はよくミスもする。パスが相手に引っかかったり、ドリブルが少し大きくなったり、狙いすぎてタイミングが早すぎたり、遅すぎてしまうこともある。でもそうしたチャレンジをしながら微調整をし、次のシーンではアッと驚く決定的なプレーをしてくれることを皆が知っている。だからうまくいかないことがあっても、サッと手をあげるだけでみんなすぐ自分のポジションへと戻っていく。そんな信頼関係が素晴らしいではないか。

 だからこそ、グラスナー監督はよりコンスタントに中心選手としてのプレーを要求している。ケルン戦で後半からの途中出場ながら終了間際に途中交代となり、試合後にはグラスナーが鎌田を捕まえて、険しい顔で詰め寄るシーンがテレビに映し出されたことが、ドイツメディアでも大きく取り上げられたりもした。この日唯一の失点となったのは、鎌田が競り合いで勝てなかったからだと指摘する地元紙もあった。

 ボーフム戦後にドイツ人記者についてその時のことを問われたグラスナーは、「どの選手も、どんな状況で出てもチームの勝利のために、チームを助けられる状態であるべきなんだ」と話し出し、こう続けた。

「ケルン戦でダイチはチームを勝利に導くプレーをもっとできたはず。素晴らしいパスを味方に送り、最後の局面を作り出せることはこれまで何度も見せてくれていた。でもあの試合に関してはメンタル的にそんな自分の能力を引き出せる状態ではなかったように思えた。だから、試合後に言ったんだ。私としては後半素晴らしいプレーを見せて、メディア陣に『なんでカマダをスタメンで起用しなかったんだ!』と言われることを望んでいたんだよ。ダイチがチームを助けてくれることはわかっている。チームを勝利に導ける資質があることを見せてくれている。チームのためにとても勤勉にプレーしてくれているんだ。だから、だ」

 システマティックなプレーがどんどん要求されている昨今の欧州サッカー界において、鎌田のように決定的な瞬間をクリエイトできる選手というのは非常に貴重だ。ベティスとのセカンドレグでは思うようにチャンスメイクすることができなかったが、そうした日もある。それは指揮官もわかっている。だが、つねに自分のベストプレーを引き出せる心構えと準備で試合に臨むことは、ここからさらに成長していくために必要不可欠なのだ。

 鎌田という選手はあらゆる経験を力に変えることができる選手。これまでもそうやって様々な問題点と向き合い、解決してきた。きっと今季もここからさらに飛躍してくるはずだ。その成長曲線はどれだけ紆余曲折しても上に向かって伸び続けていく。

文●中野吉之伴
 
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