指揮官の軌道修正によって最も大きな犠牲を払わされている
クラブ内には昨シーズンのラ・リーガの優勝請負人としての働きで“十分元は取れた”と考えている者が少なくなく、置かれた状況は厳しいが、もちろん希望が潰えたわけではない。スーペルコパ・デ・エスパーニャ準決勝のアスレティック・ビルバオ戦(1-2)とコパ・デル・レイのラウンド・オブ16のレアル・ソシエダ戦(0-2)で、自身がベンチスタートとなる中、アンヘル・コレアとジョアン・フェリックスが2試合続けてスタメンで起用された。しかしいずれの試合も敗北を喫した事実が示すように、2人によるコンビは機能しているとは言い難い。
わずか半年前、ラ・リーガ制覇に絶大な貢献を果たしたスアレスはまさしく英雄だった。最終節のバジャドリードではタイトルを手繰り寄せる歴史的なゴール(2-1とする逆転弾)をマーク。本拠地ワンダ・メトロポリターノに凱旋すると、ファンから大歓声を受けた。
しかも、ペースが落ちたと言っても、今シーズンここまで挙げた9ゴールはコレアと並んでチーム最多である。ひとたびゴールから遠ざかると評価が下落するのはストライカーの宿命とはいえ、その貢献度が疑問視されるまで状況が一変するとは半年前の時点ではまるで考えられなかった。
わずか半年前、ラ・リーガ制覇に絶大な貢献を果たしたスアレスはまさしく英雄だった。最終節のバジャドリードではタイトルを手繰り寄せる歴史的なゴール(2-1とする逆転弾)をマーク。本拠地ワンダ・メトロポリターノに凱旋すると、ファンから大歓声を受けた。
しかも、ペースが落ちたと言っても、今シーズンここまで挙げた9ゴールはコレアと並んでチーム最多である。ひとたびゴールから遠ざかると評価が下落するのはストライカーの宿命とはいえ、その貢献度が疑問視されるまで状況が一変するとは半年前の時点ではまるで考えられなかった。
このスアレスの現状は、アトレティコが直面している戦術面における混乱を如実に示している。シメオネ監督は昨シーズン、待望の9番タイプのストライカーの加入を境に、敵陣に押し込む戦術的アプローチを図った。指揮官は「ルイスの持ち味を発揮させるには、敵陣のボックスを囲い込むようにチームメイトを配置する必要がある」と説明していたものだ。
しかし今シーズン、序盤から低調な戦いが続くと、シメオネ監督は敵陣におけるプレゼンスを軽減しなければならないことを悟った。そしてその指揮官の軌道修正によって最も大きな犠牲を払わされているのが他でもないスアレスだった。
フィジカル能力が低下し、前線へロングボールが蹴り込まれても、スペースに走り込んで相手の陣形を間延びさせるプレーは影を潜め、カウンターの起点になることもできない。今後、シメオネ監督が、チームをラ・リーガ制覇に導いた昨シーズンの戦い方にどこまで原点回帰するか。生き残りを期すスアレスにとって死活問題と言っていい。
文●ラディスラオ・J・モニーノ(エル・パイス紙アトレティコ・マドリー番)
翻訳●下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
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しかし今シーズン、序盤から低調な戦いが続くと、シメオネ監督は敵陣におけるプレゼンスを軽減しなければならないことを悟った。そしてその指揮官の軌道修正によって最も大きな犠牲を払わされているのが他でもないスアレスだった。
フィジカル能力が低下し、前線へロングボールが蹴り込まれても、スペースに走り込んで相手の陣形を間延びさせるプレーは影を潜め、カウンターの起点になることもできない。今後、シメオネ監督が、チームをラ・リーガ制覇に導いた昨シーズンの戦い方にどこまで原点回帰するか。生き残りを期すスアレスにとって死活問題と言っていい。
文●ラディスラオ・J・モニーノ(エル・パイス紙アトレティコ・マドリー番)
翻訳●下村正幸
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