課題と手ごたえを得たモナコ戦。ここまでの道のりは順調だ!
前日練習と同様のメンバーで臨んだモナコ戦では、開始15分過ぎまではこの守備の形がはまり、ゲームの主導権を握っていた。
武藤は、鋭い動き出しで何度も相手ボールをカット。攻撃の場面では、味方がボールを持つと素早く動き出してパスを受け、ダイレクトで正確なパスで起点となる。
しかしゲームは、マインツが18分に不用意なプレーで同点に追いつかれると、そこから一気に流れが変わってしまった。チャンピオンズ・リーグ予選3回戦を1週間後に控えるモナコとは、チームとしての仕上がりの度合いがあまりに違った。
武藤も徐々にボールに絡めなくなり、守備での積極性も見られなくなってしまった。ジリ貧の展開のなか、35分過ぎにはプレスをかけない武藤に、チームメイトから「ヨッチ、ゴー、ゴー!」と声がかかる。何とかしようとするも、結局、その後は交代する65分まで、目立ったプレーはないまま終わってしまった。
確かに、交通渋滞で試合会場へは試合開始直前の到着となってしまい、まともにアップができなかったという事情もあった。連日晴れだったのに、急に降り出した豪雨でグラウンドがぐちゃぐちゃになるという悪環境でもあった。
しかし、だからといって、武藤はそれを言い訳にすることはなかった。
「相手は、これだけ悪いピッチでも質が高かった。やっぱり一つひとつの質を高めないといけない。相手のほうが、球際などで、個の強さが上回っていた。そこを補うためにも、もっともっと、フィジカルトレーニングやったり、日々のトレーニングに真剣に取り組んだりして、コンディションももう一段階、上げていきたいと思います」
現実を受け止める武藤。悔しくないはずはない。だが、見据えるのは先だけである。
合宿を通して、アピールには成功した。比較的スムーズに順応しつつあることも好材料だろう。課題は、守備戦術の理解、球際への意識、そして苦しい展開でもボールを呼び込めるかどうかだ。
「とにかく、自分が良い動き出しをして、もらえる位置にしっかり動き出さないことにはパスも来ないと思うので。今日も、何本か見てくれているなという感じはあったので、あとは細かいところをすり合わせて、もう一段階良くしていければと思います」
岡崎慎司という頼れる得点源を失ったマインツで、攻撃陣のレギュラー争いは横一線。組み合わせや戦い方もマイナーチェンジされるかもしれない。武藤にもチャンスは十分にある。「強い相手とやるのは楽しい」と語る彼の貪欲な取り組みこそが、その可能性をさらに高めるはずだ。
取材・文:中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・サッカー連盟公認A級ライセンス保持者(UEFA-Aレベル相当)で、現在は4部リーグに所属するFCアウゲンU-19監督を務める。育成のエキスパートになるため、大学卒業後に渡独。生活に密着しているドイツ・サッカーの奥深さを日本に還元することをテーマとし、体罰や偏見なく、だれでもサッカーが生涯楽しめる社会になることを夢見ている。最近は執筆業にも精力的に力を注ぐ。
武藤は、鋭い動き出しで何度も相手ボールをカット。攻撃の場面では、味方がボールを持つと素早く動き出してパスを受け、ダイレクトで正確なパスで起点となる。
しかしゲームは、マインツが18分に不用意なプレーで同点に追いつかれると、そこから一気に流れが変わってしまった。チャンピオンズ・リーグ予選3回戦を1週間後に控えるモナコとは、チームとしての仕上がりの度合いがあまりに違った。
武藤も徐々にボールに絡めなくなり、守備での積極性も見られなくなってしまった。ジリ貧の展開のなか、35分過ぎにはプレスをかけない武藤に、チームメイトから「ヨッチ、ゴー、ゴー!」と声がかかる。何とかしようとするも、結局、その後は交代する65分まで、目立ったプレーはないまま終わってしまった。
確かに、交通渋滞で試合会場へは試合開始直前の到着となってしまい、まともにアップができなかったという事情もあった。連日晴れだったのに、急に降り出した豪雨でグラウンドがぐちゃぐちゃになるという悪環境でもあった。
しかし、だからといって、武藤はそれを言い訳にすることはなかった。
「相手は、これだけ悪いピッチでも質が高かった。やっぱり一つひとつの質を高めないといけない。相手のほうが、球際などで、個の強さが上回っていた。そこを補うためにも、もっともっと、フィジカルトレーニングやったり、日々のトレーニングに真剣に取り組んだりして、コンディションももう一段階、上げていきたいと思います」
現実を受け止める武藤。悔しくないはずはない。だが、見据えるのは先だけである。
合宿を通して、アピールには成功した。比較的スムーズに順応しつつあることも好材料だろう。課題は、守備戦術の理解、球際への意識、そして苦しい展開でもボールを呼び込めるかどうかだ。
「とにかく、自分が良い動き出しをして、もらえる位置にしっかり動き出さないことにはパスも来ないと思うので。今日も、何本か見てくれているなという感じはあったので、あとは細かいところをすり合わせて、もう一段階良くしていければと思います」
岡崎慎司という頼れる得点源を失ったマインツで、攻撃陣のレギュラー争いは横一線。組み合わせや戦い方もマイナーチェンジされるかもしれない。武藤にもチャンスは十分にある。「強い相手とやるのは楽しい」と語る彼の貪欲な取り組みこそが、その可能性をさらに高めるはずだ。
取材・文:中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・サッカー連盟公認A級ライセンス保持者(UEFA-Aレベル相当)で、現在は4部リーグに所属するFCアウゲンU-19監督を務める。育成のエキスパートになるため、大学卒業後に渡独。生活に密着しているドイツ・サッカーの奥深さを日本に還元することをテーマとし、体罰や偏見なく、だれでもサッカーが生涯楽しめる社会になることを夢見ている。最近は執筆業にも精力的に力を注ぐ。